ピーターラビットの童話の中で、ピーターが食べ過ぎてお腹をこわしたときに、お母さんが飲ませた飲み物が、カモミールティーでした。ヨーロッパでは、古くから「お母さんのハーブ」といわれるほど、女性や子供にとってカモミールは身近なハーブなんですよ。お茶にするだけでなく、アロマオイルや入浴剤など様々な使い方もできます。今回は、そんなハーブとして有名なカモミールの効能についてご紹介します。
カモミールの効能・効果は?
カモミールには、炎症を抑えて痛みを和らげる、胃や腸の調子を整えてイライラを解消する、精神を落ち着かせるといった効果があるといわれています。これらの効果が得られる代表的な方法は以下です。
使い方
- カモミールティーを飲む
- カモミールを入れて沸かしたお湯の蒸気を吸う
- エッセンシャルオイルを体に塗る
- アロマにして、香りを楽しむ
ローマンカモミール種とジャーマンカモミール種で効果・効能が違う?
カモミールにはいろいろな種類がありますが、ジャーマンカモミールとローマンカモミールだけが薬用として使用されています。ローマンカモミール種とジャーマンカモミール種の効果は若干違うので、それぞれの持つ性質についてあげてみたいと思います。
1. ローマンカモミール
精神を落ち着かせ、高いリラックス効果が期待できるのは、ローマンカモミールです。精油を多く含んでいるので、アロマテラピーでよく用いられます。ローマンカモミールのアロマオイルは睡眠障害や摂食障害にも効果があるといわれています。
ジャーマン種と比べて、効き方が穏やかなので、子供に使っても危険性が低い、という特徴があります。ただし、ジャーマンカモミールに比べて苦みが強いので、ハーブティーにはあまり向きません。
2. ジャーマンカモミール
カモミールティーとして飲まれるジャーマンカモミール種。苦みが少なく、抗炎症作用、抗アレルギー作用のある「アズレン」という成分を多く含んでいます。特に、消化器の粘膜の炎症を抑える働きがあることから、胃痛や胃炎を沈める効果が期待できます。また、喉の痛みや口内炎を抑える効果があるので、そんなときはカモミールティーを飲むとよいですよね。ほかにも花粉症で鼻がつまってつらいときには、カモミールティーの蒸気を鼻から吸い込むのがおすすめです。
また、近年はジャーマンカモミールに含まれる「アピゲニン」という成分にも注目が集まっています。アピゲニンとは、セロリやパセリにも含まれる抗酸化作用のあるフラボノイドの1種で、新しい脳細胞を作り、それぞれの脳細胞をつなぐシナプスの働きを高める効果があるそうです。さらに、アプゲニンには乳がんのリスクを低下させる働きもあることが近年明らかになりました。
名前の由来
ジャーマンカモミールの学名Matricariaは、「母」や「子宮」を意味するラテン語に由来している、ということからも分かるように、月経痛緩和や生理不順、更年期障害などの女性特有の症状にも役に立ちます。
■ カモミールの楽しみ方
1. カモミールティーの作り方
- 収穫したカモミールの花を水洗いする
- 水気を切って茎や葉っぱから花びらだけをていねいに取り分ける
- キッチンペーパーなどの上で2〜3日天日干しで乾燥させる
- コップに乾燥した花びらスプーン1杯分と、200ccほどのお湯を注ぐ
- 5分蒸らせば完成
- 残った花びらは乾燥剤とともに密閉できるビンなどで保管
2. カモミールのアロマを楽しむ。香りの効能は?
カモミールの香りは、心身の健康に大きな影響を与えます。古代から、ハーブは様々な病気の治療に用いられてきました。西暦前16世紀ごろにエジプトで書かれたエーベルス・パピルスには、ハーブを用いた治療法が数多く記されています。
カモミールのやわらかな香りには神経の高ぶりを鎮め、リラックスさせる効果があるので、大人だけではなく、小さな子供の枕元にカモミールのサシェをおくと寝つきがよくなるそうですよ。乾燥させたカモミールの花を、お好みの生地で作った小さな袋に入れてリボンで結べば、簡単に自家製ポプリのサシェが作れますので、ぜひ香りを楽しんでみてください。
3. カモミールのエッセンシャルオイルの作り方は?
エッセンシャルオイルの作り方は、以下の材料を混ぜるだけです。簡単に作れるので、毎日使って体のケアをするのがおすすめです。やけど跡などが目立たなくなってきますし、乾燥してかゆいときなどにも便利ですよ。
- ローマンカモミールオイル2滴
- ラベンダー1滴
- ホホバオイル10ml
カモミールの花をお風呂に入れて香りや効能を体感しよう
カモミールには、肌の調子を整える作用もあります。特に乾燥肌に悩んでいる人は、乾燥させたジャーマンカモミールをネットに入れて、お風呂に浮かべてみてください。精油をお風呂に2~3滴たらして入浴するのもおすすめです。また、シャンプーの後に、カモミールティーをリンスとして使えば、髪がツヤツヤに。頭皮の肌荒れを抑える効果もあります。こんな体にいい様々な効果・効能があるカモミールですが、妊娠中やキク科植物にアレルギーがある方は使用を避け、適切な使い方で楽しんでくださいね。
更新日: 2016年04月20日
初回公開日: 2016年04月20日