カフェやアパレルショップなど、お店を彩るインテリアとして利用されるフィカス・ウンベラータ。原産地では人の背丈よりも大きく育つ、生命力にあふれた観葉植物です。今回はそんなウンベラータを増やす代表的な方法「挿し木」の仕方を中心に、「水挿し」や「取り木」といった他の増やし方もご紹介します。
挿し木とは?ウンベラータに挿し木が向いている理由は?
挿し木とは、茎や枝といった植物の一部を切りとって切り口から根を生やさせる(発根させる)繁殖方法のことです。時間をかけずに取り組め、手順が簡単で初めての方でも気軽に挑戦できますよ。
この切り取られた茎や枝を「挿し穂(さしほ)」と呼び、10本チャレンジして1本の挿し穂からしか根が生えない植物もいる中で、ウンベラータはほとんどが発根する「挿し木に向いている観葉植物」なのです。
ウンベラータの挿し木で用意するグッズは?
- 鉢植えのウンベラータ
- 土(赤玉土、鹿沼土、バーミキュライトなど)
- ミズゴケ
- 土を入れる鉢
- 鉢底石
- 鉢底ネット
- 発根促進剤
- 茎を切るハサミ(剪定バサミ)
- 樹液から手を守るゴム手袋
- 床に敷く新聞紙
挿し木の茎を切った切り口からは白い樹液が出てきます。
この白い樹液は触れると被れたり、床につくと落としにくかったりするので、手はゴム手袋、床は新聞紙をしいて、手や床が汚れないように準備をしておきましょう。
ウンベラータの挿し木の方法は?
挿し木用のグッズが用意できたら次の手順に従って挿し木を始めましょう。ゴム手袋をはめて新聞紙を下に敷き、以下の手順に従って進めまてください。
■ 挿し木の手順
- 新しい鉢の底に鉢底ネット、鉢底石、土を入れる
- 芽が出る部分を3つほど残してウンベラータの茎を7cmに切る
- 上の方の葉を1〜2枚残し、それ以外の全ての葉を切る
- 残した葉を横方向へ半分のサイズになるよう切る
- 水の中に切り口を入れながら、さらに切り口を斜めに切る
- 切り口からでる白い樹液を水で洗い流す
- 切り口に発根促進剤を塗って、湿らせたミズゴケをまきつける
- 土に水をかけて湿らせ、指で穴を空けて茎を挿す
- 日の当たらない涼しい場所で管理する
- 根が発根するまで土を乾燥させないよう定期的に水やりをする
挿し木を成功させるポイントは?
挿し木を成功させるポイントは、斜めに切って切り口の表面積を大きくすることです。切り口の面積が大きいほど水を吸い上げる力が強くなるため、茎を切りとったあともう一度斜めに切ってみてください。
また、葉っぱを半分に切るときは、葉の中心にある垂直な葉脈を軸に左右を折りたたみ、葉先が上になるように、斜め下から上に向かって半分に切り取ります。
挿し木にしたウンベラータの育て方は?
ウンベラータの挿し穂が発根するまでには2〜3週間かかります。根が生えてから新しい葉が伸びてくるなど、十分に根の量が多く長く生長したら、養分の入った土に植え替えましょう。
挿し穂に根が生えたら、置き場所や水やりの管理方法が変わります。まず水やりは「土が乾燥してから」行いましょう。
これまでは土が乾燥する前に水やりをしていましたが、同じやり方では根が腐ってしまうのです。
次に、涼しい日陰で管理していた置き場所を明るい日陰に移してください。午前中に日の当たるカーテンや窓越しの窓ぎわなどに置くのがおすすめです。
根が十分に生えてからの植え替え方法は?
根が十分に生えてきたらもう一度植え替えが必要です。挿し木用の土には栄養が含まれていないので、通常の観葉植物用の培養土を入れた鉢に「苗」として植え替えをしましょう。
■ 植え替えに必要なグッズ
- 新しい鉢
- 鉢底ネット
- 鉢底石
- 観葉植物の培養土
■ 植え替えの手順
- 新しい鉢を用意して鉢の底に鉢底ネット、鉢底石を入れる
- 鉢に観葉植物の培養土を1/3ほど入れる
- 挿し穂を鉢から抜き出す
- 根を傷つけないように軽く手でもみほぐす
- 新しい鉢に根を置き周りを観葉植物用の培養土でうめる
- 水やりをして挿し木を固定して完成
挿し木以外にもウンベラータは増やせるの?どんな増やし方がある?
ウンベラータの増やし方ですが、実は挿し木だけではありません。例えば、切りとった茎を水につけて発根させる「水挿し」、茎に傷をつけて茎の途中から発根させる「取り木」といった方法があります。
挿し木に慣れてきたころ、「水挿し」や「取り木」にチャレンジすると新しい楽しみが発見できるかもしれませんよ。次にそれぞれの方法についてご紹介します。
ウンベラータの水挿しでの増やし方は?
水挿しとは、切った茎の切り口を水につけて発根させる繁殖方法です。ガラスのコップに挿しておくだけなので、インテリアとして飾っておくことができる、おしゃれな増やし方といえます。
水挿しでは、毎日水を入れ替えること、冬の前に土に植えなおすことの2点が大切です。
水挿しを楽しむなら、「挿し木の手順6」の「切り口からでる白い樹液を水で洗い流す」までは同じ作業なのでそこまで作業を進めてください。
■ 水挿しの手順
- 水を入れ替えた容器に挿し穂を入れる
- 午前中だけ日の当たる場所におく
- 毎日水を入れ替える
- 9月下旬頃になったら挿し木と同じ手順で植え替える
ウンベラータの取り木での増やし方は?
取り木は、茎の表面を傷つけて発根させる繁殖方法です。
取り木の特徴は、発根した部分の下で茎を切って植え直すため、「植え直す時点で根が十分に生長していること」と、「葉の部分は維持したまま根を新しく(更新)できること」にあります。
■ 取り木に必要なグッズ
- ミズゴケ
- ミズゴケを密閉するビニール
- ビニールを止めるゴム
■ 取り木の手順
- 発根させたい茎の部分を決める
- 茎の皮を1~2cm幅でぐるりとナイフではぎ取る
- こぶし大ほどのミズゴケを湿らせる
- はぎ取った部分にミズゴケを巻く
- ビニールで密閉してゴムなどで上下をとめる
- 一部に穴をあけてミズゴケが乾きそうになったら霧吹きなどで水を足す
- 外から見ても十分根が生長するまで待つ
- ビニールを取って根の下で切る
- 根の生えた挿し木同様新しい鉢に植え替える
まずは挿し木でウンベラータを増やす楽しさを知ろう
ウンベラータは生長が早く、増やすのも簡単な植物です。初めてウンベラータを増やそうと思っている方は、ぜひ挿し木からチャレンジして繁殖させる楽しみを体験してみてください。
ウンベラータ本体が大きくなるほど挿し木ができる量も増えてくるのでたくさんウンベラータが栽培できるようになりますよ。
更新日: 2023年02月22日
初回公開日: 2017年02月14日