大昔から、姿を変えることなく生き続けているシダ。日本では昔から観賞用に栽培されることも多く、派手さはないものの独特の形や葉っぱで人々の目を楽しませてきました。丈夫で育てやすく、空気をキレイにしてくれるといったエコプランツとしても根強い人気がありますよ。今回は、そんなシダの観葉植物としての特徴や、増やし方など育て方全般についてご紹介します。
観葉植物のシダにはどんな特徴がある?
シダ植物とは、さまざまな種属の植物が混ざった総称です。メインはシノブ科・シノブ属の植物で、ほかにもリュウビンタイ科やウラボシ科の植物も含まれています。
そのため、たんにシダ植物といっても、品種はさまざま。耐寒温度、見た目の特徴も異なります。水辺で見かけるコケもシダ植物。観葉植物として育てる品種は、茎が立ち上がらず、横に広がって生長するものが多いですよ。
共通する特徴は「繁殖方法」で、種や花をつけず、胞子によって数を増やします。
観葉植物としてシダを育てるなら、準備は何が必要?
- 鉢に植えられたシダ植物
- ジョウロ
- 剪定バサミ
シダを育てるなら、あらかじめ鉢に植えられたものを購入すると、すぐに飾って楽しめますよ。
上の写真のように、「ポット」と呼ばれるビニール製の鉢で販売されていることもあります。ただ、このポットは育てることを目的にした鉢ではないため、陶器やプラスチックなどでできた別の鉢に植え替える必要があります。
あとは、水をあげるためのジョウロがあれば手入れがはかどります。剪定バサミは必要があれば購入を検討してみてください。
シダの育て方のコツ!どんな環境で育つ?
シダ植物は高温多湿な環境を好みます。キレイなシダを育てたいなら、直射日光は避けて、レースカーテン越しの窓際など「明るい日陰で風通しのよい場所」に置きましょう。
ただし、冬は窓の近くだと冷気にあたってしまいます。5度以上の気温があれば育ちますが、寒冷地なら少し部屋の内側に置いた方が枯れる心配が少なくすみますよ。
観葉植物のシダの水のあげ方は?肥料はいる?
シダ植物を育てるときは、水やりがメインのお手入れです。品種にもよりますが手間がかからず、育てるのは簡単ですよ。ここでは頻度や量について具体的にご紹介します。
水やり
乾燥させすぎると葉がポロポロ落ちてくるので、様子を見ながら水やりをしましょう。「土の表面が白っぽく乾いたら」を目安に鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水をあげましょう。
夏は1日1回前後、冬は乾燥してからさらに3日ほどあけて水やりするくらいのペースです。季節によって水やりの頻度は変わるので土の状態を毎日よく観察しておくことが大切ですよ。
肥料
肥料はあげなくても育つので必要ありません。もしあげるなら、4~8月の間で梅雨や真夏をのぞいた時期に、1ヶ月に1回ほど薄めた液体肥料を与えるくらいで十分です。
液体タイプの肥料なので水やり代わりにあげましょう。合わせて通常の水やりをする必要はありませんよ。
観葉植物のシダの育て方!植え替えの方法は?
シダ植物は大きくなると植え替えが必要になります。これは、根が鉢の中いっぱいに生長し、それ以上伸びられなくなって、植物全体の生長がにぶるためです。この状態を「根づまり」といい、放置すると枯れる原因になります。
植え替えのタイミングは、どの植物を育てるかによって違います。生育の盛んな時期が植え替えに適しており、品種によってその時期は異なります。たとえば、シノブは11〜2月、アジアンタムは5〜9月頃が最適です。
2~3年に1回植え替えをすると生育がよくなりますよ。
■ 植え替えに必要なグッズ
- いまよりも一回り大きな鉢
- ピンセット
- 観葉植物用の培養土
- 鉢底ネット
- 鉢底石か軽石
- 割りばし
- ゴム手袋か軍手
- 小型のシャベル・スコップ
- ビニールシートか新聞紙
■ 植え替えの手順
- 水やりを控えて土を乾燥させる
- 作業する場所にビニールシートを敷く
- 新しい鉢の底穴に鉢底ネット、鉢底石を順に敷く
- 土を鉢の1/3ほどまで入れる
- 鉢からシダを抜いて、根についた土を手でやさしく揉んで落とす
- 黒ずんでいる腐った根を剪定バサミで切る
- 鉢の中心に植物を置き、縁から下2〜3cmのところまで土を入れる
- 土の表面を割りばしでつつき、根の隙間まで土をなじませる
- 鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水やりをする
観葉植物のシダは病気にかかる?栽培の注意点は?
シダは栽培をしていく中で、害虫の被害にあうことがあります。特にカイガラムシには注意が必要ですよ。植物の栄養を吸い取って、枯れる原因となります。
また、カイガラムシの排泄物は「すす病」という病気の原因になる菌を寄せ付けてしまいます。カイガラムシを予防することがすす病の回避にもつながりますよ。
定期的に霧吹きやスプレーで水を吹きかける「葉水(はみず)」で湿らせること、また、通気性のよい場所に置くことも予防につながります。
もし発生したら、殺虫剤で駆除します。ただし、成虫になると殻が丈夫になって薬が効かなくなります。ブラシなどで物理的に剥がしましょう。
観葉植物のシダの育て方!剪定のポイントは?
品種によりますが、シダ植物はそれほど生長が早くないといわれています。そのため、ハサミで切って形を整える「剪定(せんてい)」もほとんど必要ありません。
大きく育ったときに、「一部葉っぱが飛び出している」「全体的にもう少し小さく育てたい」などがあれば、形を整える程度に剪定しましょう。
観葉植物のシダは増やせるの?増やし方は?
自然界のシダ植物は始めにご紹介したように「胞子」を使って数を増やします。家庭で育てる場合にはその方法で増やすのが難しいので「株分け(かぶわけ)」という方法を使います。
園芸用語で植物のことを「株」と呼びます。株分けとは、シダ植物(株)を根ごと切り分けて2〜3株に増やす繁殖方法です。
■ 株分けに必要なグッズ
- 鉢(切り分ける数分)
- 観葉植物用の培養土
- ナイフ
■ 株分けの手順
- 水やりを控えて土を乾燥させておく
- 鉢から植物を取り出す
- 枯れたり、傷んだりした葉を取り除く
- 根を傷つけないように、やさしく手でもんで土をほぐす
- ナイフで切れ目を入れ、手で2〜3株に分ける
- 傷んでいる黒ずんだ根を切り取る
- 植え替えと同じように鉢を用意し、分けた株をそれぞれ植える
- たっぷりと水をかける
- 直射日光の当たらない明るい日陰で風通しのよい場所において管理する
- 1〜2週間したら通常の苗と同じように育てる
シダを観葉植物として飾ろう
シダは、羽のようにふわふわとした切れ込みの入った葉っぱが美しい、和を感じさせる観葉植物です。緑の色が鮮やかなことから、すずしげな癒やしの空間を作り出してくれますよ。
また、置き場所と水やりにさえ気を付けておけば、初心者でも栽培にチャレンジしやすい植物です。ぜひ部屋に飾って楽しんでくださいね。
更新日: 2022年06月08日
初回公開日: 2016年04月21日