ヤシの木といえば、南国のシンボルとして知られる樹木です。ゴツゴツとした幹の先に羽のような葉を放射状に生やすのが特徴で、中には「ココナッツ」などの実をつける種類も。寒さに弱いため、日本の路地では目にしませんが、観葉植物として育てられているものもいくつかあります。今回は、ヤシの木とはどんな植物なのか、観葉植物になる種類や品種、育て方についてご紹介します。
ヤシの木とは?
ヤシの木とは、ヤシ目・ヤシ科に分類される植物の総称です。仲間の数が多く、200~300属、2,000~3,000種が、世界中の熱帯から亜熱帯を中心に分布しています。日本には7種が自生していますが、観葉植物として栽培されることの方が多いです。
そのすべてが常緑で、幹から枝を生やさずに生長することが特徴です。幹の先に羽のような葉っぱを放射状につけ、大型のものだと樹高30m以上に生長します。花は1~2cmと小型で、穂のようにまとまって咲くのが特徴です。
ヤシの木の種類や品種は?観葉植物におすすめなのは?
ココヤシ
ココナッツの実をつけることで知られる種類で、「ヤシの木」といえば、本種を指すことが多いです。本来は樹高10~30mに生長する高木ですが、70~100cmほどの若い苗が観葉植物として楽しまれます。ココナッツの実を割って生えている幹は、ユニークな見た目でインテリアに人気ですよ。
テーブルヤシ
テーブルの上でも育てられるサイズなことから名付けられた種類です。種から育てた、高さ30~40cmほどの鉢植えが多く流通しています。生長スピードが遅いことから、観葉植物としてじっくりと育てられ、「あなたを見守る」という花言葉から、プレゼントにも人気です。
シュロチク(棕櫚竹)
細い葉っぱが涼しそうな雰囲気を演出してくれるシュロチク。草丈1~5mほどに生長し、和洋どちらのインテリアにもなることから、料亭やレストランの入口によく飾られています。常緑で1年中葉っぱを茂らせ、寒さに強いことが特徴です。
アレカヤシ
ヤシ科の植物の中で、最もインテリアグリーンとして利用されている人気の観葉植物です。マダガスカルやアフリカなどの熱帯に自生し、本来は樹高10mほどに生長します。細長い葉っぱが優雅な雰囲気をお部屋に加えてくれますよ。
フェニックスロベリニー(フェニックスロベレニー/シンノウヤシ)
耐寒性が強く、0度まで耐えられることが特徴の種類です。細く繊細な葉っぱが美しく、鉢植えだけでなく、切り花としても流通しています。生長しても幹の太さがほとんど変わらず、地面をはうようにして育っていきます。
ナツメヤシ
デーツと呼ばれる実をつける種類です。樹齢が長く、生育もゆっくりなことが特徴で、自生株は樹齢80年に及ぶものもあります。樹高30mほどに育つ大木で、大きく生長すると寒さや潮風にも耐えることから、関東以南では地植えで育てることができます。
ヤシの木の育て方のポイントは?屋外で地植えできる?
観葉植物として育てる場合、室内で日当たりのよい場所で育てることがポイントです。日陰でも育ちますが、日光に当たった方が丈夫な株になります。
また、寒さに弱い品種が多いので、冬の霜に当たると枯れてしまいます。最低気温で12~15度は必要なため、日本での地植えは、沖縄県でのみ可能といわれています。
ヤシの木の種まき、苗植えの時期と方法は?
種まき
5~8月の暖かい時期が適期です。気温が十分に保てないと発芽しないことから、赤玉土(小粒)か、ピートモスに種を植え、表面にラップをかけて保存しましょう。
1~3ヶ月ほど土が乾かないよう暖かい場所で管理すると、新芽が生えてきますよ。ただ、種は市販されておらず、入手しづらくなっています。肥料分の含まれていない土を使うことがポイントです。
苗植え
5~8月が植え付けの適期です。寒さに弱いことから、地植えにはほとんどされず、鉢植えの方が一般的です。鉢植えは、苗よりも1回り大きな鉢に植え付けます。
ヤシの木の土作り・水やり・肥料の与え方
土作り
水はけがよく、栄養分の多い土を好みます。赤玉土(小粒)6:腐葉土3:軽石(小粒)1か、赤玉土(小粒)7:腐葉土2:パーライト1の割合で混ぜた土がおすすめです。市販の観葉植物用培養土を使ってもかまいません。
水やり
土の表面が乾きはじめたら、たっぷりと水を与えます。生育期の春~秋にかけては、水が足りないと枯れてしまいますが、冬は休眠して水を必要としなくなります。冬は乾燥気味に育てるようにしてください。また、季節を問わず葉っぱに霧吹きで水を吹きかけると、色つやがよくなります。
肥料の与え方
生育期の5~10月の間、2ヶ月に1回ゆっくりと効く緩効性化成肥料を株元に与えます。
ヤシの木の剪定!時期と方法は?
下の方の葉っぱが茶色く枯れてきたら、株元から切り戻します。また、鉢の底から出てきた根は順次カットしていきます。
ヤシの木の植え替え!時期と方法は?
5~8月が適期で、手順は植え付け時と同じです。生育の旺盛なものとそうでないものがあるので、それぞれの生育に合わせて1~3年に1回、1~2回り大きな鉢に植え替えましょう。鉢の底から根が出てきたり、土が水を吸い込まなくなったりしたら、植え替えのサインです。
ヤシの木の増やし方!株分けの時期と方法は?
ヤシの木は、種まき、株分け、挿し木で数を増やすことができます。種まきは、植え付け時の時期や手順と同じです。アレカヤシなど複数の茎が生えるものが株分けに向きます
株分け
鉢から株を抜き取り、根についた土を落としたら、茎が数本ずつつくように根を手やナイフで分けていきます。それぞれを鉢に植え付けたら、日陰で管理していきます。新芽が生えてきたら、少しずつ日向に移動させてください。
ヤシの木の栽培で注意する病気や害虫は?
炭そ病
春~秋にかけて発生しやすい病気で、かかると葉っぱに黒い斑点が現れます。治療はできないので、病気にかかった部分は切り取り、薬剤をまいて病気が広がるのを防ぎましょう。
カイガラムシ、ハダニ、アブラムシ
いずれも葉っぱや茎、新芽に寄生する害虫で、栄養を吸って株を弱らせます。いずれも、見つけたら薬剤を散布して駆除していきましょう。ただ、カイガラムシの成虫は薬が効きにくいので、ブラシなどで株から引きはがすとよいですよ。
ヤシの木は自分好みの種類を育てて楽しんで
ヤシの木には多くの種類がありますが、いずれも南国ムードを演出できるすてきな葉っぱが魅力です。テーブルヤシは特にサイズが小さく、100均でも簡単に手に入ることから人気ですよ。また、どっしりとした株なら、アレカヤシやココヤシがおすすめです。一言でヤシの木といっても、たくさんの種類があるので、自分好みのものを見つけて楽しんでくださいね。
更新日: 2021年06月09日
初回公開日: 2015年11月18日