寒蘭とは、同じ東洋蘭である春蘭と違った魅力のある花です。現在では産地ごとに愛好会があり、定期的に自慢の鉢植えを持ち寄って、意見交換などが行われていますよ。また生産地や栽培環境によっては庵の姿や色が変わるのも育てるときの魅力なんだとか。今回は、寒蘭の花言葉と植え替えの時期と方法など育て方についてご紹介します。
寒蘭(カンラン)の花言葉や意味・由来は?
『熱意』『勝利』
10~1月の寒い時期に花を咲かせ、とてもよい香りを漂わせることにちなんで「熱意」という花言葉が付けられました。
寒蘭(カンラン)の学名・原産国・英語
- 学名
- Cymbidium kanran
- 科・属名
- ラン科・シュンラン属
- 英名
- Cymbidium kanran
Kanran
- 原産地
- 南アフリカ
- 開花期
- 10~1月
- 花の色
- 紫、緑など
- 別名
- –
寒蘭(カンラン)とは?どんな花を咲かせる?
寒蘭は日本の本州以南の暖かい地域に自生する東洋蘭の一種です。以前は広葉樹林の中で自生している姿を見ることができましたが、現在はほとんど目にすることができず、環境省のレッドリストでも絶滅危惧種に指定されています。
東洋蘭の中では大型の種類で、大きいものだと草丈1mほどに生長します。細長い葉っぱの間から茎を伸ばし、花をいくつも咲かせます。花は、葉っぱが変化した萼を3枚と、花びら3枚を付けています。萼や花びらのうち2枚は細長く、淡い緑色をしています。中心の花びらは、「リップ」と呼ばれる蘭の特徴的な部分で、クリーム色の地に赤紫色の斑点が入ります。その他にも、桃系、赤花系、黄花系、白花系、青花系、更紗系など花色のバリエーションが豊富です。
寒蘭(カンラン)の種類や品種は?
産地によって土佐寒蘭、日向寒蘭、紀州寒蘭があります。また、花の色や姿によって名前が付けられています。寒蘭は花が咲いていなくても、葉の姿を楽しむことができ、葉のタイプによっても種類が違い、きちんと系統分けされてはいません。
寒蘭(カンラン)の育て方のポイントは?
寒蘭は森林部に生息する着生蘭なので、自生していたところと似せた環境を作ることがポイントです。季節ごとに日に当てる量を変えて生育を良くしてあげましょう。また、気温の管理も大切で、0~35度の環境で育てるようにしましょう。
寒蘭(カンラン)の苗植えの時期と方法は?
3~4月か、9月下旬~11月上旬が植え付けの適期です。生育しやすい環境を確保するために、鉢植えで育てていきます。小さな苗であれば4~5号、大株なら5~7号の鉢に1株植え付けるのが目安です。
鉢の底から1/3ほど大粒の赤玉土や鹿沼土を配合した土を入れ、続いて中粒の土を鉢の2/3ほどまで入れたら、苗の根を広げながら植えます。そして、小粒の土を根が生えているバルブが半分くらいまで入れれば植え付け完了です。市販されている寒蘭専用培養土を使うと、安心です。
寒蘭(カンラン)の土作り、水やり、肥料の与え方?
土作り
水はけと水持ちのバランスがよい土を好みます。自分で作ると、赤玉土や硬質鹿沼土、軽石、日向土をうまく配合しなければならないため、一般的に寒蘭専用培養土が使われます。
水やり
土が乾いてきたら、鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水やりをします。長い間土が乾くとすぐに枯れてしまうので注意してください。ただ、土が常に湿った状態だと、根腐れを起こしてしまいます。
肥料の与え方
10~11月に1~2週間に1回、薄めた液肥を与え、新芽を太らせます。
寒蘭(カンラン)の管理!日当たりなど生育環境は?
春~秋
ベランダで栽培しているなら、よしずなどで軽く遮光して育てていきます。特に夏場の直射日光に当たると、葉が焼けてしまうので注意してください。強い日差しにさえ当たらなければ、庭など屋外でも元気に育てられます。
冬
0度以上の気温が保てるよう、室内に鉢を移動させます。レースのカーテン越しなど、日に当たる窓辺に置くのがおすすめです。
寒蘭(カンラン)の植え替えの時期と方法は?
生育はゆっくりですが、土のリフレッシュも兼ねて2~3年に1回植え替えをします。適期や手順は、植え付け時と同じです。同時に株分けをすると効率的ですよ。
寒蘭(カンラン)の増やし方!株分けの時期と方法は?
3~4月か、9月下旬~11月上旬の植え替えと同じタイミングに株分けで数を増やすことができます。茎が5本以上になっている株で行ったほうが、その後の生育が安定しますよ。
1. 鉢から株を取り出し、根に付いた土をほぐして落とす
2. 傷んだ根や長い根を切り落とす
3. 黄色く変色した葉は切り落とす
4. 新芽が2~3本出ているバルブを手でゆっくり分ける
5. 根を傷つけないよう注意しながら、株を外す
6. 植え付けと同じ手順で、それぞれの株を鉢に植える
寒蘭(カンラン)の栽培で注意する病気や害虫は?
モグリバエ
幼虫(ウジ虫)が花径に侵入し、花を食べてしまう害虫です。そこから、株が折れてしまいます。見つけたら、つぼみが付く前にオルトラン液剤などの殺虫剤をまいて駆除しましょう。防虫ネットで成虫の飛来を防ぐことができます。
アザミウマ(スリップス)
細長く小さな害虫で、つぼみに寄生して栄養を吸い取ります。見つけたら、スミチオンなどの薬剤を散布し、それでも効果が薄いときはアクラタ粒剤などを活用して駆除していきます。モグリバエと同じく、防虫ネットで予防できます。
ハダニ
葉っぱの裏に寄生し、栄養を吸って株を弱らせる害虫です。見つけたら薬剤をまいて駆除するか、水で洗い流して退治します。水が苦手で、定期的に葉っぱに水を吹きかけると発生を防ぐことができます。
寒蘭(カンラン)は高価な東洋蘭
寒蘭は、絶滅危惧種であるということもあり、古くから人々に親しまれる東洋蘭の人気の種類です。1株3,000円以上するほど高価で、中には1万円を超えるものも少なくありません。また、栽培には手間暇がかかります。ただ、その分大切に育てることで、他の植物にはない愛着を持つことができますよ。
更新日: 2023年02月01日
初回公開日: 2015年12月16日