コニファーは、針のような葉っぱをした針葉樹全体の呼び名です。樹形と葉の色は様々で、コニファーガーデンや生垣など、園芸に欠かせない植物です。クリスマスツリーにも利用されているんですよ。今回は、コニファーについて、種類などの図鑑情報、特徴に加え栽培や剪定方法などをご紹介します。
コニファーとは?
- 学名
- –
- 科・属名
- マツ科
ナンヨウスギ科
イヌマキ科
コウヤマキ科
ヒノキ科
イヌガヤ科
イチイ科
- 英名
- Conifer
- 原産地
- 北米、温帯北部~冷帯までの世界中
- 開花期
- 4~9月 ※種類、品種によって様々
- 花の色
- –
- 別名
- マツ
スギ
ヒノキ
モミ
ニオイヒバ(匂桧葉、匂檜葉)
コニファーはヒノキ科やマツ科など、複数の科をまたいだ常緑性の針葉樹林です。全世界に500以上の種類、数万の品種があるといわれています。
樹高は0.5〜20mとさまざまです。鉢植えに適した種類もあれば、地植えでしか育てられない種類もあります。
コニファーに花は咲く?花言葉は?
『不変』『永遠』
コニファーはほとんど花を咲かせません。
寒さに強く、寒冷地でも力強く大木に生長する姿から、「不変」といった花言葉がつけられたといわれています。また、建築の木材として有名なスギやヒノキもコニファーの一種なので、その生命力や植物としての強さを感じることができますね。
コニファーはどんな木?クリスマスツリーのような木?
日本で馴染みのある針葉樹でいうと、杉、松、檜(ひのき)、クリスマスツリーとして知られるモミの木などがコニファーにあたります。ただし、園芸ではヨーロッパから輸入されてきた種類だけをコニファーと呼びます。
コニファーにはどんな種類がある?
日本で生育できるのは200種ほどで、濃い緑色、薄い黄緑色、白味がかかった緑、エメラルドグリーンなど色とりどりな葉色が特徴です。
今回は、そんなコニファーの種類について、代表品種をご紹介します。
コニファー図鑑!代表的な種類15選
1. コニファー・エメラルド(コニファー・エメラルドグリーン)
- 科・属名
- ヒノキ科・クロベ属
- 学名
- Thuja occidentalis ‘Emeraud’
- 樹高
- ~4m
葉っぱが円錐形のコニファーで、強く丈夫なことから生垣に向いている品種です。春~夏には光沢のある鮮やかな緑色で、冬はベージュがかった色になります。枝葉からはトロピカルフルーツのような柑橘系の香りがあるのが特徴です。
日当たりを好み、水はけのよい場所で育てます。湿度はほどほどを好みますが、乾燥にもある程度耐えることができ、暑さと寒さに強いため、幅広い地域で育成が可能です。
生育が悪くない限り肥料は必要ありません。樹形を乱すような長い枝は、見つけ次第切り取りましょう。幅が広がってきたら新芽が出る前に刈り込みます。
2. コニファー・ブルーアイス
- 科・属名
- マツ科・ヒマラヤシダ属
- 学名
- Cedrus deodara ‘Blue Ice’
- 樹高
- ~10m
葉っぱが円錐形の品種です。コニファーの中で、最も香りが強いのが特徴で、丈夫で虫がつきにくく、銀白色、または灰青色の美しい葉を持ちます。
日当たり・水はけのよい場所で育てます。根張りが悪いので、植え付けには支柱をすると安心です。肥料を施すと伸びすぎてしまうので、特に必要ありません。
剪定は、きれいに観賞するために1~2年に1度、全体を刈り込んで円錐形の樹形を保ちます。クリスマスには、ブルーアイスでリースを作ることも。
3. コニファー・ゴールドクレスト
- 科・属名
- ヒノキ科・クプレッスス(イトスギ)属
- 学名
- Cupressus macrocarpa ‘Gold Crest’
- 樹高
- ~20m
葉っぱが円錐形の品種です。園芸種のコニファーの中で最もポピュラーな品種です。黄金色の枝葉を持ち、生長すると20mまで伸びるのが特徴。葉はサンショウに似た独特な香りがします。
日当たりがよく、水はけもよい場所で育てます。寒さにとても強いのですが、日本の高温多湿の気候はあまり合わないので、風通しのよい環境を作るのが大切です。
剪定は、樹形を保つために必要ですが、ハサミで刈り込むと切り口が茶色く変色してしまいます。大まかな形を作る場合にハサミで刈り込み、細かいところは手で摘み取るのがポイント。クリスマスツリーとしても人気があります。
4. コニファー・ブルーヘブン
- 科・属名
- ヒノキ科・ビャクシン属
- 学名
- Juniperus scopulorum ‘Blue Heaven’
- 樹高
- ~6m
ヒノキ科で狭円錐形のコニファー。春にきれいな青銀葉色になる、ブルー系の代表品種です。
日当たりを好み、水はけのよい場所で育てます。寒さに弱く、蒸れや乾燥にも弱いので、管理に気をつけましょう。過度な肥料を嫌い、多いと傷んでしまうので控えめに施します。
剪定は、基本的に刈り込みに弱いので行いません。庭木のシンボルツリーとして人気があります。
5. コニファー・ウィルマ
- 科・属名
- ヒノキ科・イトスギ属
- 学名
- Cupressus macrocarpa ‘Wilma’
- 樹高
- ~1m
葉っぱが狭円錐形で、ゴールドクレストの小型品種です。鮮やかな明るいライムグリーンで、ふわっとした優しい葉をつけます。寒さには比較的強いですが、乾燥に弱い傾向があります。
6. コニファー・シルバースター(コニファー・エルウッディー)
- 科・属名
- ヒノキ科・ヒノキ属
- 学名
- Chamaecyparis lawsoniana ‘Ellwoodii’
- 樹高
- ~2m
狭円錐形で、細い樹形と青緑系の葉っぱが人気の品種です。樹高が小さいこともあり、寄せ植えの材料として人気です。
日当たりのよい場所か半日陰が適していますが、日に当てないほうが、比較的青みを増すことができます。また、幼い苗のほうが形よく美しく育つ傾向も。耐寒性はありますが、夏の高温は苦手です。
基本的に剪定は必要ありません。そのままでも形のよい美しいロケット型の樹形になりますよ。不要な部分を手で摘み取る程度で大丈夫です。
7. コニファー・ブルーエンジェル
- 科・属名
- ヒノキ科・ビャクシン属
- 学名
- Juniperus scopulorum ‘Blue Anjel’
- 樹高
- ~5m
葉っぱが狭円錐形で、青色が美しく出る品種です。コニファーガーデンをする場合には、欠かせませんよ。灰白色を帯びた銀青色で、寒さが厳しいほど赤紫色に色がつきます。
日当たりがよく、風通しのよい場所で育てましょう。また、大きな木の下など、遮光下の環境で育てると、かえって色鮮やかになることも。水を好むので、乾燥に注意します。剪定はコンパクトな樹形を保つために、年に数回行いましょう。
8. コニファー・スカイロケット
- 科・属名
- ヒノキ科・ビャクシン属
- 学名
- Juniperus scopulorum ‘Skyrocket’
- 樹高
- ~5m
名前の通り、ロケット型の形が特徴的な品種です。狭円錐形で青緑色の葉っぱをしており、冬には色が落ちてベージュ色になります。
あまり日があたらないと生長が悪くなるので、できるだけ日当たりがよい場所で育てます。加湿に弱く、水の与えすぎで枯れてしまうこともあるため、水はけのよい環境が必要です。ただ、水切れもしやすいので管理に気をつけましょう。剪定は、枝が伸びすぎると樹形が崩れ、芯が複数たちやすいので適宜行う必要があります。
9. コニファー・エレガンテシマ
- 科・属名
- ヒノキ科・クロベ属
- 学名
- Thuja occidentalis ‘Elegantissima’
- 樹高
- ~8m
葉っぱが広円錐形で、子どもの手のひらを立てたような葉が、重なり合います。新芽の時期は、鮮やかな黄色から黄緑色をしており、冬になると赤茶色や褐色など渋い色に変化します。
日当たりを好み、肥沃で適湿な土壌で育てるとよく育ちます。生命力が強く、コニファーの中でも一番育てやすい品種の一つなので、初心者にもおすすめです。刈り込みに強いほうなので、大きく育ったら思い切って剪定を行い、樹形を保ちましょう。
10. コニファー・ブルーバード(ボールバード)
- 科・属名
- ヒノキ科・ヒノキ属
- 学名
- Chamaecyparis pisifera ‘Boulevard’
- 樹高
- ~7m
葉っぱが広円錐形の品種です。深みのあるブルーグリーンの色をしており、葉裏は灰色がかっています。厚みのある葉は、先端がカールし、鳥の羽のように見えます。ボリューム感があるので、クリスマスのリースの素材としても人気です。
耐陰性があるので半日陰でも育ちます。生育がゆっくりなため、剪定をする必要はあまりありませんよ。
11. コニファー・ヨーロッパゴールド
- 科・属名
- ヒノキ科・クロベ属
- 学名
- Thuja occidentalis ‘Europe Gold’
- 樹高
- ~5m
葉っぱが狭円錐の品種です。春は鮮やかな黄金色、夏は黄緑色へと変化し、冬にはオレンジがかった黄色になります。四季を通じて葉色の違いやオレンジのような柑橘類の香りが楽しめます。
日当たりを好み、水はけのよい場所で育てます。日を当てることで美しい色が出ますよ。耐寒性もあり、寒い地域でも育てられます。やや横に広がりやすいので適宜剪定を行って樹形を保ちます。
12. コニファー・レッドスター
- 科・属名
- ヒノキ科・クプレッスス属
- 学名
- Chamaecyparis thyoides ‘Redstar‘
- 樹高
- ~2m
葉っぱが円錐形の小型種で、ゆっくり育つ品種です。鱗葉は小さくよく詰まっており、通常は青緑色ですが、冬季になると赤胴色や赤紫色へと変化します。
暑さにも、日陰にも、湿度にも強いので、日本の気候に適している品種といえますね。特に剪定の必要もないので、管理しやすいですよ。
13. コニファー・グリーンコーン
- 科・属名
- ヒノキ科・クロベ属
- 学名
- Thuja occidentalis ‘Green Cone’
- 樹高
- ~5m
ヒノキ科で狭円錐形のコニファーです。春から秋は鮮やかな緑色で、冬はベージュがかった色に。生長が早く、暑さ・寒さに強く、日陰でもよく育つため、育てやすい品種です。濃い深緑色が人気で、生垣としても適しています。
特に剪定の必要はありませんが、生長が停滞すると側面の枝が伸び始めるので、早めに剪定します。
14. コニファー・ブルーアロー
- 科・属名
- ヒノキ科・ビャクシン属
- 学名
- Juniperus scopulorum ‘Blue Arrow’
- 樹高
- ~5m
極狭円錐形で、青みがかった緑色の尖った短い葉が特徴的な品種です。極細い枝にびっしりついています。スカイロケットより青みが強く、冬にはベージュがかった色へ変化します。
「日当たり・水はけ・風通し」がよい場所で育てましょう。水やりは、やや乾燥気味の状態を好みます。年に1度は、伸びた脇枝を剪定しましょう。細く育つので、小スペースで育てるのにおすすめの品種です。
様々な種類のコニファーを育ててみよう
針葉樹全体を指すため、種類や品種が豊富で、育て方の違いが大きいのもコニファーの特徴です。その分、仕立て方や飾り方を考えながら育てると、四季を通して楽しませてくれますよ。
香りを楽しむ品種を植えたり、自宅の庭をコニファーで彩ってみてはいかがでしょうか。
更新日: 2021年12月22日
初回公開日: 2015年09月14日