樹木の中で最も高く生長する高木は、どこにあってもひときわ目を惹く存在です。枝葉にみなぎる力強い生命力を感じると、疲れも悩みも吹き飛んでしまいそうですよね。庭や家の近くにスケールの大きな樹木を1本植えるだけで、空間に奥行きのある美しさが生まれますよ。今回は、高木とはどんな樹木なのか、また庭木やガーデニングにおすすめの種類10選をご紹介します。
高木(こうぼく)とは?
高木とは、人の背丈をゆうに超える高さの、太くてかたい幹をもつ樹木のことです。林業では4~5m以上のものを指しますが、庭木の場合は便宜的な意味合いが強く、見上げるほど大きな樹木をまとめて高木と呼ぶことが多いです。
樹高20mを超える大木を大高木、低木というには背の高い樹木を中木や小高木などと表す場合もあります。
高木の植栽は剪定と庭のスペースに注意
一般家庭で好まれるのは、シンボルツリーに利用しやすい高さ4~10m程度の高木です。気をつけたいのは植栽スペースが足りなくなることで、樹種によっては想像以上に大きくなることも少なくありません。
剪定に自信がもてないときは、比較的コンパクトにまとまる果樹類や花木類、生長の遅い樹木などを選ぶようにしましょう。下記に、庭木におすすめの高木を10種ご紹介します。
花木の高木の種類
1. ユリノキ(百合の木)
ユリノキは、北アメリカ東部原産の落葉樹です。自生地では50mを超す大木になり、秋にはこうようが楽しめますよ。名前は属名の「Liriodendron(ユリの木)」にちなんでいて、咲かせる花がチューリップに似ていることから、「チューリップノキ」とも呼ばれます。
花全体は黄緑色で、付け根の部分に橙色の斑点があります。左右対称の葉っぱは、先端をハサミで切り落とされたようなおもしろい形をしています。
2. ウメ(梅)
美しい花や枝ぶりが観賞できる花梅は、早春の花木として古くから親しまれてきました。1~3月頃になると、枝にくっつくようにして白、ピンク、紅色、複色などの香り高い花を咲かせます。
梅の剪定は奥が深く、種類や樹勢によって時期や不要な枝が少しずつ違います。よい剪定をするほど魅力が増しますから、手入れ好きの方におすすめの樹木です。
3. ロドレイア(シャクナゲモドキ)
ロドレイアは、東南アジア~中国南部に分布するマンサク科の常緑樹です。シャクナゲに似た木姿から「シャクナゲモドキ」とも呼ばれ、早春にローズピンクの花をうつむき加減につけます。
日本で流通し始めたのは最近ですが、香港では正月の飾り花に欠かせない存在です。耐寒性があって性質は頑健ですが、乾燥に弱いところがあります。
4. アメリカデイゴ(カイコウズ)
アメリカデイゴは、和名の「カイコウズ」で鹿児島県の県花に選定されている花木です。デイゴ属は熱帯域を中心に約100種が知られますが、寒さに弱いために日本では九州や沖縄で主に栽培されています。
夏~秋にとさか形の暗紅花を咲かせ、いかにも熱帯性らしい雰囲気をかもしだしてくれますよ。最近よく見かけるマルバデイゴはアメリカデイゴの園芸品種で、耐寒性に優れることから関東以西の地域で栽培されています。
果樹の高木の種類
5. イチジク(無花果)
イチジクは、「不老長寿の果実」と呼ばれるほど栄養価の高い果実を実らせる果樹です。果肉に豊富に含まれるペクチンや酵素が、胃腸の不調や便秘、二日酔いの改善に役立ちます。
家庭用に甘みの強い品種もあって、寒冷地以外ならほとんどの地域で育てられる育てやすさが特徴です。収穫した果実は日持ちがしないので、なるべく早めにいただきましょう。
6. ナツメ(棗)
ナツメは、初夏に芽吹き、夏に実をつけることから「夏芽」の名がつけられた果樹です。もともと薬用の目的で中国から渡来したもので、滋養強壮、不老長寿の妙薬といわれています。
苗木はどこでも手に入るというわけではなく、品種も限られたものしかありませんが、まっすぐ伸びて場所をとらず、育てやすい庭木におすすめの落葉樹です。
7. ヤマモモ(山桃)‘瑞光’
ヤマモモは、平安時代から親しまれてきた常緑樹で、夏の果実の代表的な存在です。生食、ジャム、果実酒になるだけでなく、美しい葉っぱや樹形を楽しむ観賞樹としても優秀ですよ。
特に食用品種の瑞光(ずいこう)は、ヤマモモの中でもとくべつ大果で、家庭栽培に適したおすすめの品種です。日持ちの問題から、生の果実が手に入るのは稀なことで、自家栽培ならではの喜びをもたらしてくれます。
8. ビワ(枇杷)
ビワは、結実までに4~5年かかりますが、非常に育てやすい常緑性果樹です。条件が合えば食後の種から発芽するほどで、虫もあまり寄りつかず、一般家庭でも無農薬で栽培できます。
果実は枝から離れると追熟しないので、食べるときに収穫するのが一番ですよ。ただし、鳥の大好物ですから、先に食べられてしまわないように気をつけてくださいね。
常緑樹の高木の種類
9. マテバシイ
マテバシイは、どんぐりを実らせる常緑樹です。表面に光沢がある、大きくて分厚い葉っぱが特徴です。シラカシに姿がよく似ていて、強剪定にも耐えることから、生垣や目隠し、シンボルツリーまで幅広く利用されていますよ。
秋のどんぐりは、渋みの少ない素朴な味わいで、粉にしてクッキーなどに入れるとおいしく食べられます。ほかにも、でんぷんをとって餅、団子、ローストしたものからコーヒーを作ることもできます。
10. ユーカリ
ユーカリは、ユーカリ属の植物の総称です。ユーカリは、オーストラリアを中心に600種以上が分布し、有名なコアラの主食はその内のごく一部の品種に限られます。
庭木として使うには、耐寒性が強く、比較的樹高の低い品種がおすすめですよ。ギンマルバユーカリという品種が人気で、白銀色の丸い葉っぱが可愛らしく、大きくなると6m前後まで育ちます。葉色のきれいなシルバーリーフは、洋風のおしゃれなお庭にぴったりですよ。
高木を植栽して壮大なガーデニングライフを
高木に囲まれた生活は、まさに自然そのもの。ただし、お庭に植える高木は、植栽後の手入れと費用の負担を考えた上で、よく吟味して選ぶのがポイントです。
根張りや枝張りも大きくなるので、場合によっては専門業者に相談することもあります。剪定や日々の手入れを大切にしながら、ガーデニングライフを楽しんでくださいね。
更新日: 2021年09月22日
初回公開日: 2016年02月16日