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毒のある花とは?種類や特徴、有毒成分は?危険な植物に注意

植物の中には、食用になるもの、薬用効果のあるもの、そして、毒性のあるものがあります。日本には、毒のある植物が200種もあるといわれているんですよ。「きれいな花にはトゲがある」とはききますが、むやみに触れてしまうと死に至る危険もあるので注意が必要です。今回は、私たちの身近に生えている、毒のある花の種類や特徴、有毒成分や症状についてご紹介します。

毒のある花を鑑賞・栽培するうえで注意することは?

たとえ毒のある花であっても、触れたり、口に含んだりしなければ大きな問題になることはほぼありません。自己判断で、庭の花を口にするのは危険なのでやめましょう。

また、室内であってもペットや小さな子供の手に届かないところに置くようにします。猫が花瓶に生けてあった花の葉っぱをかじったり、花瓶の水をなめたりして、中毒症状を起こした例が実際に報告されています。

毒のある花8種!

1. トリカブト

トリカブト 花 むらさき アップ

トリカブトは、キンポウゲ科・トリカブト属に分類される多年草の総称で、日本三大有毒植物の1つです。古くからその毒性は知られ、毒矢に塗って使われた記録が古事記にも残っています。花はその毒性とは裏腹に美しく、はかなげな姿をしていますよ。

全草に含まれているのは、強い毒性のあるアコニチンやメサコニチンなどアルカロイド系の成分です。特に根の毒性が強く、致死量は0.2~1gとわずか。また、花粉にまで毒を含んでいることが特徴となっています。食べると、下痢や嘔吐、麻痺、呼吸困難などの症状が出て、重症の場合は、数秒で死に至る危険があります。

2. ジギタリス

ジギタリス 種類 品種 紫 ピンク

釣鐘型の花の中に、たくさんの斑点があるジギタリス。長く伸びた茎の先にいくつもの花を咲かせ、その花色も豊富なことから、庭のテイストに合わせて植えることができる、園芸に人気の多年草です。

全体にジギトキシンやジゴキシンという強心配糖体が含まれていて、強心作用があります。この作用を利用して、古くはハーブとして扱われ、医薬品の原料にもなっていました。ただ、誤食すると胃腸障害や下痢、嘔吐、不整脈などの症状が出て、重症化すると心停止を起こす可能性もあります。

3. イヌサフラン

イヌサフラン 地植え

イヌサフランは、ユリ科・イヌサフラン属に分類される球根植物です。名前にサフランと付くとおり、アヤメ科のサフランとよく似た見た目をしており、紫色のきれいな花を咲かせます。その姿は、ぱっと見ただけでは有毒な草花だとは思えないほどかわいらしいですよ。

ただ、コルヒチンという有毒成分が球根や葉っぱに含まれています。食べると、呼吸困難や嘔吐、下痢などの症状が出て、ゆっくりと苦しみながら死に至ることから、「冷血な殺人草」という別名を持っているんですよ。葉っぱが行者にんにくに、球根がジャガイモやタマネギに似ていることから、台所など食べ物と勘違いしてしまう場所に置くのは危険です。

4. 彼岸花

彼岸花 曼珠沙華

葉っぱを付けず、独特の姿をした真っ赤な花を咲かせる彼岸花。有毒植物であることは、あまりにも有名ですよね。昔の人々にとっては、その見た目が珍しく、毒を持っていることも手伝って、恐怖や災害を表す存在として恐れられてきました。

株全体にリコリンをはじめとしたアルカロイド系の毒を約20種含んでおり、特に球根部分の毒性が強いです。食べると、嘔吐や下痢、呼吸困難などの症状が出てしまいます。

特別な解毒剤はないので、対症療法でしのぐしかありませんが、よほど大量に食べない限り致死量に至る危険性は少ないとされています。昔は、この毒性を利用して、土手や田んぼのあぜ道やお墓の近くに植え、小動物を遠ざけていたんですよ。

5. ダチュラ(チョウセンアサガオ)

ダチュラ チョウセンアサガオ 朝顔 あさがお アサガオ 

トランペット型の白い花を咲かせるダチュラ。南アジアを原産とするナス科の植物で、朝顔の仲間ではありません。日本へは、江戸時代に渡来し、本州より南の地域に自生しています。

植物全体に、アトロピンといった有毒のアルカロイドが含まれています。葉っぱに特に多く含まれ、食べるとのどの渇きや意識の混濁、麻痺、瞳孔散大、興奮、呼吸停止などの症状が現れます。ハーブと間違えて誤飲してしまうケースも少なくありません。

6. 夾竹桃(キョウチクトウ)

キョウチクトウ 夾竹桃

排気ガスなどの公害に強いことで知られ、公園や学校の校庭、公道に植えられていることが多い夾竹桃。常緑性の低木で、夏を迎える赤やピンク、白の花を葉っぱの間にたくさん咲かせます。葉っぱが竹、花が桃に似ていることから名付けられました。

そんな見かける機会が多い夾竹桃ですが、株全体に毒があります。その毒性は青酸カリよりも強く、少しでも口に含んでしまうと、心臓発作や痙攣、下痢を引き起こしてしまいます。また、枝を燃やすと毒のある煙が出るので、自宅で燃やしてはいけません。

7. 水仙

スイセン 水仙

水仙は、寒い冬から春にかけて、甘い香りの花を咲かせる球根性の植物です。ギリシャ神話のエピソードにも登場し、日本へは平安時代に伝わってきました。中心が突き出ているユニークな形が、花壇の主役にも、引き立て役にもなる優秀な草花なんですよ。

ただ、葉っぱや球根には毒を含みます。アルカロイド系で、食べると嘔吐や下痢、発汗、頭痛、昏睡、低体温などの症状を引き起こします。葉っぱがニラに、球根がタマネギに間違えられ、食べてしまう事例が毎年数件ずつ報告されており、厚生労働省は注意を呼びかけています。

8. 鈴蘭

すずらん 毒

可憐でちょっと物憂げな姿がひときわ印象的な鈴蘭。小さな白い花と、シュッと伸びた緑色の葉っぱとのコントラストが美しく、「純潔」という花言葉がよく似合います。ただ、この清純な雰囲気に反して、その根や花、葉っぱには想像もできないほど強い毒を持っています。

コンバラトキシンなどの有毒成分は、根や花に多く含まれます。嘔吐や頭痛、心臓麻痺を引き起こし、最悪の場合、死に至ることもあるといわれています。花粉が食べ物に落ちてしまっただけでもその毒性を発揮してしまい、手で触るとかぶれてしまう恐れさえあるので、鈴蘭の手入れをするときは、ビニール手袋や長袖を着用しておくと安心です。

毒花は、私たちのごく身近に咲いている

私たちの身近に、有毒植物はいくつも存在します。食べたりなんてめったにしないでしょう…と思っても、見た目がタマネギやニラなど、身近な野菜と似ていることも少なくありません。ピクニックにでかけたときなど、見つけてもけっして触れないようにしましょう。そして、万が一口にしてしまったときは、すぐに医師の診察を受けるようにしてください。

更新日: 2022年07月06日

初回公開日: 2016年02月18日

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