寒さが厳しい冬は、お鍋がおいしい季節ですよね。そんな季節に収穫できる冬野菜は、寒さによって甘さや旨味が引き立つものがたくさんあります。特に体を温める働きがある根菜の多くが収穫期を迎えるのは、うれしいポイント。
そこで今回は、野菜ソムリエの伴野さんおすすめの、家庭菜園に向いている冬野菜を11種類ご紹介していきます。
冬野菜① 大根(ダイコン)
太く長い根が煮物にもサラダにもできる大根。日本では古くから栽培されており、種類や品種も様々です。実は、世界で一番大根が食べられているのは、日本なんですよ。痩せた土でも育つ丈夫な野菜で、家庭菜園をはじめたばかりの人でも栽培を楽しめます。
大根は病害虫が少なく、初心者の方でも失敗が少なく、根も葉も余す事なく食べられて、また、冬に嬉しい体を温める料理がたくさんできるのでおすすめです。
旬の季節
品種が数多くあって1年中栽培できる大根ですが、本来の意味での旬は晩秋から冬になります。春から夏に収穫するものは辛味が強いものが多いです。
辛味と甘味
冬の大根が甘くなるのは、寒さから身を守ろうとして凍結しないように糖分を蓄えるからです。また、大根の下の方が辛味が強くなるのは、土に埋まっている部分が土中の害虫に食べられるのを防ぐために辛味成分を生成するからです。
冬の大根は甘味があってみずみずしく、煮物やサラダ、お漬物など幅広く使えます。ただ、辛味大根でお蕎麦を頂くのも良いですよね。
保存方法
収穫して葉を落として、深さ50cmほどの地中に大根同士が重ならないように埋めておくと、なんと数ヶ月も保存ができます。その際は、埋めた場所を忘れないように注意してくださいね。
栽培ポイント
春と秋の2回種まきから育てていけますが、秋から育てはじめた方がトウ立ちしにくく、病害虫の被害も受けにくいとされています。地中深くまで育つので、プランターや鉢は深さのあるものを用意し、畑は深さ30cmくらいまでしっかりと耕してください。畑に石があったりすると大根がまっすぐに育ちません。しっかり深く耕し、石などの不純物を綺麗に取り除くことが、立派な大根を作るポイントです。
収穫期 | 5~7月/10~12月 |
植付期 | 種まき:4~5月/8~9月 |
冬野菜② 白菜(ハクサイ)
冬と言えば白菜を思い浮かべるほど、ポピュラーな冬野菜です。鍋に加えれば甘みが増すほか、漬物や和物など色々なレシピに利用できますよね。最近は葉が赤紫色のものや生食向きのものなど、個性的でとても美味しい品種が増えて来ています。白菜は時期に合わせて品種を変えて栽培すれば、秋から初春頃までずっと収穫でき、調理法も様々で、バラエティ豊かな栽培ができるのも家庭菜園の楽しみの1つです。
栽培ポイント
アブラナ科の野菜で、害虫の被害にあいやすいという特徴はありますが、対策さえ施しておけば大丈夫。水のやり過ぎに気をつけ、株同士の間隔を十分に空けることが大切です。
また、白菜の生育適温は15~20度ですが、それよりも早く育てはじめると病害虫の被害にあいやすくなります。ただ、植え付け時期を遅らせると、今度は結球しにくくなります。種まきは8~9月、苗植えは9~10月と、時期を守って栽培をはじめましょう。
収穫期 | 10~3月 |
植付期 | 種まき:8~9月 苗植え:9~10月 |
冬野菜③ ほうれん草
ほうれん草は、鉄分やビタミンが豊富に含まれており、子供から大人まで積極的に摂取したい緑黄色野菜です。種まきから収穫までの期間が1~2ヶ月と早く、失敗も少ないので初心者に最もおすすめな野菜の1つ。品種によっては1年中栽培できる家庭菜園向きの野菜で、冷たい霜に当たると甘みが増すと言われています。
栽培ポイント
酸性の土壌を嫌うので、種をまく前に土作りをしておくことが、おいしいほうれん草を栽培するコツです。プランターや鉢植えなら、市販の野菜用培養土を使うと簡単にはじめられます。プランターや鉢植えで市販の培養土を使う際にも、土の表面がうっすら白くなるくらい苦土石灰を混ぜると良いでしょう。
また、種子を一晩水に浸してから種まきをすると発芽しやすくなりますよ。
収穫ポイント
草丈が20~25cmになったら、根元から刈り取って収穫していきます。食べた時に葉が硬いようであれば、大きくなりすぎている証拠です。もう少し小さめのタイミングで収穫するようにしましょう。
収穫期 | 4~7月/9~2月 |
植付期 | 種まき:3~5月/8~11月 |
冬野菜④ 里芋(サトイモ)
里芋は、栽培期間は長いですが、お水さえ忘れなければ失敗することは少ない野菜で、東南アジアを原産とするタロイモの仲間です。デンプン質を主成分とし、タンパク質や炭水化物を豊富に含みながら、低カロリーなことが特徴となっています。栽培期間は少し長めですが、放っておいても育つほど丈夫です。
栽培ポイント
種芋と呼ばれる芋を春に植え付け、霜が降りる前の10~12月に収穫していきます。水もちのよい土を好み、乾燥は苦手なので、プランターや鉢で栽培するときは特に水切れに注意してくださいね。乾燥を防ぐために敷きわらをしておくと、水やりの手間を減らすことができますよ。
収穫ポイント
気温が下がってきて、葉がしおれた頃が収穫の適期です。収穫が遅れると腐ってしまうことがあるので注意しましょう。
収穫期 | 10~11月 |
植付期 | 種芋の植え付け:3~5月 |
冬野菜⑤ 春菊(シュンギク)
春菊は、独特の香りがすき焼きやお鍋にはもちろんのこと、様々な料理に使えるお野菜。最近では生食できる品種も出てきました。βカロテンやビタミンCを豊富に含み、体の免疫効果を高めてくれると言われています。
春まで株を育てると黄色い小さな花が咲きます。日本では主に食用として栽培されていますが、ヨーロッパでは観賞用に育てられているんですよ。可愛らしい花なので、食べるだけでなく観賞用としても楽しんでみてはいかがでしょうか?
収穫ポイント
ほうれん草と同様に生育が早く、種まきから2ヶ月ほどで収穫期を迎えます。種は、光に当たらないと発芽しない好光性種子なので、種まきをした後は、種が隠れるか隠れないかくらい薄く土を被せるようにしてくださいね。
また、一気に株を抜き取って収穫せず、地際4~5cmくらいを残しておくと、新しく葉っぱが伸びて何度も収穫を楽しめます。株が上に伸びてくるタイプの品種は、脇芽を順次摘み取って収穫します。上に伸びず株張りするタイプの品種は、株ごと抜き取って収穫するようにましょう。
収穫期 | 5~7月/10~12月 |
植付期 | 種まき:3~5月/8~10月 |
冬野菜⑥ ブロッコリー
もこもことした見た目が特徴のブロッコリー。アブラナ科の緑黄色野菜で、キャベツの変種とされています。私たちが食べている部分は、花の蕾と茎の部分となっています。また、近年はブロッコリースプラウトと呼ばれる新芽が栄養価の高さや強い抗酸化作用によって注目されています。
ブロッコリー豆知識
ブロッコリーの食べる部分は「花蕾(からい)」と呼びます。てっぺんの花蕾の事を「頂花蕾(ちょうからい)」、茎の脇から出ている花蕾の事を「側花蕾(そくからい)」と言います。
栽培ポイント
ブロッコリーの栽培のコツは、水はけのよい土を使い、外側の葉っぱが大きくなるよう肥料を切らさないようにすることです。苗を植え付けるタイミングで、たっぷりと野菜用の化成肥料を土に混ぜ込んでおきます。そして、本葉が10枚くらい生えたら、定期的に花の蕾ができるまで化成肥料や液体肥料を与えていきます。
収穫ポイント
頂花蕾を収穫した後も側花蕾が順次出てきますが、側花蕾は頂花蕾ほど大きくはなりません。直径数㎝で収穫するようにしましょう。また、側花蕾をたくさん収穫するには、追肥を欠かさないよう注意してください。
茎が長く伸びるスティックブロッコリーの場合は、頂花蕾が500円玉程度の大きさの時に収穫し、側花蕾をどんどん伸ばして収穫しましょう。
収穫期 | 5~7月/10~3月 |
植付期 | 種まき:2~3月/7~9月 苗植え:3~4月/8~9月 |
冬野菜⑦ ネギ
薬味や煮物、鍋の具材にと幅広いレシピに活躍してくれるネギ。スーパーでは周年見かけることができますが、冬が旬で甘みが増します。また、硫化アリルという成分には抗酸化作用や消化吸収を助ける作用があり、体調を崩しやすい冬の風邪対策にも効果的と言われています。
育て方難易度
長ネギ(白ネギ)は、土寄せなどの手間がかかるため、難易度は高めです。そのため初心者の方は、まず葉ネギ(青ネギ)からチャレンジしてみましょう。京野菜で有名な九条ネギは香り高く、味も濃くて美味しい葉ネギで、おすすめですよ。
ネギの豆知識
ネギを切っていると出てくるあのヌルヌル。その名も「ヌル」と呼ばれている粘液で、免疫力を向上させる効果があると言われています。インフルエンザなどが気になる冬に、是非頂きたい野菜です。
栽培ポイント
ネギの白い部分は、日に当たらないよう土を株元に寄せていくことで作られます。植え付けから2~4週間後、2ヶ月後、3ヶ月後と最低でも3回は株元に土を寄せる「土寄せ」をしていってください。土寄せする際は、成長点に土を被せないように注意しましょう。収穫するときは、持った土を崩してから、根元を握って土から引き抜きます。
収穫期 | 7~8月/11~2月 |
植付期 | 種まき:3~4月/9~10月 苗植え:3~7月/7~8月 |
冬野菜⑧ リーフレタス
緑色や赤色など色鮮やかで、見た目にも楽しめるリーフレタス。虫がつきにくいため、栽培もとても簡単です。採りたての新鮮さを感じやすく、是非とも家庭菜園で挑戦して頂きたい野菜の1つです。
栽培ポイント
リーフレタスの種は発芽適温が15~20度で、光を浴びて発芽する性質があるため、夏と冬を避けて種まきをすると良いです。また、高温多湿に弱いため、春の栽培では、なるべく梅雨入り前に収穫できるように種まきをしましょう。
収穫ポイント
株の大きさが約30㎝ほどになった頃が収穫の適期です。外側の葉から順次収穫しても大丈夫です。
収穫期 | 5〜6月/11月〜12月 |
植付期 | 種まき:3~4月/9~10月 苗植え:3~4月/9~10月 |
冬野菜⑨ 水菜(ミズナ)
土と水があれば育てられることから「水菜」と名付けられたと言われるほど、栽培方法が簡単な水菜。お鍋に最適で、サラダやお漬物などでもシャキシャキ食感が美味しく食べられます。特に若い株は柔らかくて美味しく、食育にも最適な野菜の1つです。
栽培ポイント
名前の通り、お水が好きな野菜なので乾燥させないように注意しましょう。
収穫ポイント
大きく育ったら株元をハサミで刈り取って、そのまま栽培を続ければ数週間で再度収穫ができます。何回収穫できるかを楽しみながら栽培してみてくださいね。
収穫期 | 10月/5月中旬 |
植付期 | 種まき:4〜5月/9月上旬〜10月中旬 苗植え:4〜5月/9月上旬〜10月中旬 |
冬野菜⑩ ラディッシュ
ラディッシュは別名「二日大根」とも言われる通り、生育がとても早く、種まきから約1ヶ月(二十日ほど)で収穫ができます。プランターでも気軽に栽培できる野菜なので、初めて家庭菜園をされる方も安心してチャレンジできますよ。赤みが綺麗で、見た目にも可愛らしく、サラダの彩に加えたり、ピクルスや生のまま食べるのもおすすめです。
栽培ポイント
乾いたところに急に水を加えると、根にヒビが入ってしまう可能性があるため、土を乾燥させたり、急に湿らせたりしないように注意しましょう。
収穫ポイント
ラディッシュの直径が2cmほどに生育し、根元が見え始めたら頃が適期です。収穫が遅れてしまうと根が割れてしまうので注意しましょう。
収穫期 | 4月中旬〜6月/10月下旬〜12月中旬 |
植付期 | 種まき:3月下旬~5月下旬/9月上旬~10月下旬 苗植え:3~7月/7~8月 |
冬野菜⑪ キャベツ
周年栽培できるキャベツですが、冬のキャベツはとにかく甘みが強いのが特徴です。最近では特に糖度が高い品種が出てきています。採りたてをそのまま生で食べれば、キャベツの本当の美味しさを味わえると思います。
おすすめ品種は、たけのこのような尖った形が特徴の『みさき』です。歯ごたえがよく、甘み旨みがしっかり感じられて、ドレッシングなどの味付けなしでもバリバリ食べられます。
栽培ポイント
害虫被害を防ぐためにも、早い段階で防虫ネットを張ったり、日々葉の様子を観察してきましょう。また、キク科のレタスやセリ科の野菜を間に植えることで、独特の香りを嫌ってキャベツの害虫が抑えられます。
収穫ポイント
キャベツの玉を押してみて、葉が数枚へこむくらいに固く締まっていれば、収穫の適期です。ナイフなどで株元の芯の部分を水平に切り取りましょう。
収穫期 | 7~10月/11~4月/4~7月 |
植付期 | 種まき:3~6月/6~8月/9~10月 |
家庭菜園で冬野菜を栽培してみよう
冬野菜は、寒さが増していくに連れて育っていくものです。そのため、病気や害虫の被害にあいづらく、栽培を手軽にはじめられるものがたくさんあります。また、体を温める効果があることは、寒さが厳しくなる季節にはありがたい効能です。プランターや鉢植えで、まずは試しにはじめてみてはいかがでしょうか。
更新日: 2018年12月26日
初回公開日: 2016年06月15日