ガーデニングの醍醐味は、果物や野菜が一番おいしい旬の時期に味わえることです。いちご狩りなど、採れたての果物を食べたときの楽しみや味は忘れがたいもの。また、味もさることながら、旬に収穫した食べ物は、栄養価が最も高いので美容や健康によい効果を与えてくれます。今回は、春が旬の果物について、特徴と簡単な育て方についてご紹介します。
春の果物7選
1. いちご(苺)
甘くておいしい味が人気のいちご。秋に植えた苗が春から初夏にかけて収穫できます。美肌効果や免疫力の向上、目の疲れの回復などの効果・効能があるようにビタミンなどの栄養がたくさん詰まっています。
水はけのよい土でたっぷり水やりをするのが栽培のポイント。ただ、土が乾燥する前に水やりを続けると、湿気状態が続いてカビが発生する原因になります。果物の中でも比較的育てやすく、初心者にもおすすめの果物ですよ。
植付期 | 9〜10月(苗) |
収穫期 | 4〜6月 |
2. 枇杷(ビワ)
古代に中国から持ち込まれ、種や葉が民間療薬として利用されてきた枇杷。春から初夏に実らせるオレンジ色の卵型の実は甘く、生食のほかお菓子やジャム、果実酒などにも利用されています。葉のアミグダリンやクエン酸は鎮痛作用があるといわれる反面、アミグダリン酸という毒を発生させるためむやみに食べるのは注意してください。
枇杷は、水はけのよい土と温かい環境を好みます。湿気に弱いため、混みあった枝は8〜9月頃に剪定をして、風通しをよくしておきましょう。実をつけるまでは8〜10年ほどかかるのでじっくり育てたい方におすすめです。
植付期 | 5〜6月(種) 2月下旬〜4月(苗木) |
収穫期 | 5〜6月 |
3. マンゴー
トロピカルフルーツとして有名なマンゴーは、濃厚な甘みが特徴の果物です。春から初夏にかけて種や苗を植え、夏に収穫します。生食やジュースなどで食されるほか、プリンやケーキなどの洋菓子の原料としても人気があります。インドや東南アジアなど温かい地域で多く生産され、日本では主に沖縄や九州地方などで栽培されています。
温かい場所を好むので、冬でも10度以上の気温を確保してください。また、冬は霜に当たらないよう防寒対策が必要です。市販されている果実の種からでも6〜7年をかければ栽培できますが、時間がかかるのでかかるので苗木から育てるの一般的です。放置しておくと、結実しにくいので、筆などで人工授粉させると美味しい果実が実りますよ。
植付期 | 6〜7月(種植え) 4〜5月(苗植え) |
収穫期 | 5〜8月 |
4. さくらんぼ
さくらんぼは、春から初夏にかけて2つで1組の赤い果実を実らせる果物です。古代ローマの時代から栽培され、品種の数は1,000種を超えるといわれています。祝の贈り物といて、30粒ほどで3〜5万円で取引されるものもあり、「赤い宝石」と呼ばれることもある果物です。
さくらんぼは、桜の仲間(バラ科・サクラ属)なので病気や害虫の被害にあいやすい植物です。また枝を切り過ぎると株が弱るので、過度な剪定はやめておきましょう。切り口には、癒合剤を塗って病原菌の侵入を予防します。結実性が低いので近くに複数個の株を植え、人工授粉させるとうまく果実が実りますよ。
植付期 | 12〜3月(苗植え) |
収穫期 | 5〜6月 |
5. 夏みかん
夏みかんは、春に育て始めて翌年以降の春から初夏にかけて収穫する果物です。江戸時代に黒潮に乗って山口県に漂着した種を育てたのが起源とされています。昭和初期には、大分で夏みかんの枝変わり種である甘夏みかんが発見され、現在では、一般的にこの甘夏みかんのことを「夏みかん」と呼んでいます。
寒さに弱いため、主に関東南部以西の温暖な地域で栽培されています。果物の栽培で多い人工授粉の作業がいらないほど結実性が高く、株一本でも結実することが可能です。通常のみかんと同じく、昨年実がつかなかった枝は不要なので、冬の剪定に合わせて切り落としておきましょう。
植付期 | 3〜4月(苗植え) |
収穫期 | 3〜6月 |
6. ウメ(梅)
果物に分類される梅は、奈良時代の和歌にも詠まれるほど古くから人々に親しまれてきました。白やピンクの花は、春を染み染みと感じさせてくれ、一昔前の花見では梅の花が主流でしたね。現在では、500種類以上の品種があり、特定の地域のみで栽培される地方品種が多いのが特徴です。また、花を楽しむなら「花ウメ」、実を収穫して食べるなら「実ウメ」を選んでくださいね。
寒さには強く、北海道から九州まで栽培可能です。ただし、開花が早いと実が寒害を受けるので、寒冷地では遅咲きの品種を植えるとよいですよ。
植付期 | 7〜8月(種植え)、12〜3月(苗植え) |
収穫期 | 3〜6月 |
7. ブラッドオレンジ
ヨーロッパ産のブラッドオレンジは、紫がかった濃い赤色の果肉が特徴です。この色はポリフェノールの一種、アントシアニンによるもので、アントシアニンには眼精疲労や免疫力改善などの効果があるといわれています。アントシアニンが含まれるオレンジ類は大変稀で、近年注目されている品種です。果実をつけたまま越冬するため、関東南部以西の温暖な地域での栽培が一般的です。こちらも1本で結実するため受粉樹は不要となっています。
植付期 | 3〜4月(苗植え) |
収穫期 | 3〜4月 |
春の果物で食卓を彩ろう
春夏秋冬がある日本では、暖かい気候や寒い気候で育ついろいろな果物が栽培できます。今では、ビニールハウスや水耕栽培の技術が発達して、1年中収穫できるようになってきていますが、やはり旬の季節に食べる果物が一番おいしく感じますよね。
ぜひ、冬の寒さを乗り越えてうまみが一層凝縮された春の果物で食卓を彩ってみてください。
更新日: 2020年02月12日
初回公開日: 2016年05月15日