お墓参りのときに持参する花は、花屋でセットにされているものを購入することが多いのではないでしょうか?これらは、菊をメインにしているものが主流なこともあり、同じようなイメージになりがちです。せっかくなら故人の好きだった花を選びたいものですが、こういった仏事には決まり事がつきもの。そこで今回は、お墓参りで供える花について、おすすめの種類や選ぶときのマナー、値段の相場などをご紹介します。
お墓参りで供える花は?宗教別にマナーがあるの?
お葬式で添える花には、供花や献花、枕花などシチュエーションによって呼び名が代わります。お墓参りに供える花に決まった呼び名はありません。
ただし、仏教ならば供える花全てを「仏花」と呼んでトゲのある花は不向きといわれたり、キリスト教なら白を基調とするなど、宗教によってルールがあることも。今回は、仏教とキリスト教のマナーをご紹介します。
仏教
極楽浄土をイメージするためにお墓の左右に花を供えるマナーになっています。そのため、必ず花束2つで1対になるよう奇数の本数(3本・5本・7本など)の花束を準備する必要があります。
選ぶ花にルールはありませんが、トゲや毒のある花やつる性の植物は縁起が悪いので避けた方がよいとされています。また、頻繁にお墓参りにいける環境でないなら、傷みやすい花や散りやすい花は避けた方が、親戚やお寺とのトラブルを招かずにすみます。
キリスト教
お墓参りは故人に対して敬意を払う行為に当たります。そのため、安らぎを与えられるよう、故人が好きだった花を選びます。百合やカラーなど白い花を基調にまとめられることが多く、花束だけでなくリングフラワーなどに仕立てられることもありますよ。
お墓参りで供える花の値段や選び方、マナーは?
お墓参りに供える花の相場にこれといった決まりはありません。スーパーや花屋さんで購入できる物価のセットだと500~3,000円ぐらいが一般的な値段です。
マナー1. 目上の方よりも高価な花は買わない
お墓に供える花の値段で1つ注意するべきは、一緒にお墓参りをする家族や親戚がいる場合、あらかじめ花を準備した方がよいか、どちらかが用意するかなどを相談するとよいですよ。目上の相手よりも高価な花を持参すると気分を害される場合があります。
マナー2. 霊園は生花を嫌う場合がある
近年は霊園の管理上の問題から、生花のお供えは持ち帰りを依頼されることも少なくありません。特に、はじめてのお墓参りのときは、事前に霊園の状況を確認しておくと安心です。
お墓参りで供える花のおすすめの種類は?
1. 菊
菊の花は、お墓参りで供える花の定番ですよね。菊が選ばれるのは、花持ちがよい、花びらの数が奇数でよい意味がある、安価だからといわれています。お供えには、中輪の和菊や、1つの茎にたくさんの花を咲かせるスプレーマム、丸いフォルムがかわいらしいピンポンマムが人気ですよ。
2. 金魚草(キンギョソウ)
金魚のようなかわいらしい花を茎の先端にいくつも咲かせる金魚草。南ヨーロッパや北アフリカが原産の多年草です。開花期の春~初夏にかけて、仏花のセットにもよく含まれていますよ。ピンクや黄色など春らしいやわらかい花色が特長です。
3. カーネーション
カーネーションは、母の日のプレゼントによく贈られる春の花ですよね。花びらの縁にあるフリルがやさしい雰囲気で、お墓参りのお花にぴったり。特に白は、厳かな雰囲気があって他の種類の花とも相性がよいです。
4. アイリス
特に春のお供えの花でよく見かけるのがアイリス。和の雰囲気が漂う上品な美しさと、独特の花姿が目を引きます。実はアイリスとは、特定の植物の名前ではなく、アヤメや花菖蒲などアヤメ科の植物の総称なんですよ。切り花にしても丈夫で、長い間花色があせないことも人気の理由です。
5. キンセンカ
キンセンカの花言葉「別れの悲しみ」「寂しさ」と、故人を悼む気持ちが伝わりそうなものがたくさんつけられています。菊の仲間なので花の咲いている期間が長く、花持ちがよく丈夫なことも仏花に利用されるポイント。また、太陽を思わせる黄色やオレンジの花色も明るい雰囲気ですてきですね。
6. スターチス(リモニウム)
スターチスは、小さな花が集まって咲く姿が印象的な花です。花びらが薄く乾燥しやすいことから、ドライフラワーにされることも多いですよね。お供えの花には、紫や白、ピンクが人気です。どちらかというと引き立て役なので、カーネーションなどメインの花の色と合せて選ぶようにするとうまくいきます。
7. リンドウ(竜胆)
リンドウは、秋が近づくにつれて出回るようになる草花です、太くしっかりとした茎の先に、つぼみをつけ、筒状の花が日の光をあびて開きます。花色が青や紫なので、落ち着いた雰囲気のお供えの花束にしたいときはおすすめです。
8. 百合
世界中で愛される大輪の花といえば、百合ではないでしょうか。欧米では聖母マリアを象徴する花とされ、宗教的な場ではよく利用されているんですよ。真っ白で肉厚な花びらが美しく、豊かな甘い香りが特長です。お供えにするときは、花粉を取り外しておくと、トラブルを招かずにすみます。
お墓参りに供える花は思いやりが大切
お墓参りは、一般的なしきたりのほか、地域や家族によっても様々な風習があります。中には、供えてはいけない花が決まっていることもあるかもしれません。
特に、しきたりを気にされる年配の方などには、事前にルールを聞いておき、供える花を選ぶことが大切です。家族の絆を深めるためには大切な気遣いなので慣れないうちは面倒かもしれませんが、故人を悼む気持ちを大切にしてお花を備えてあげてくださいね。
更新日: 2021年09月01日
初回公開日: 2016年05月10日