故人の冥福を祈り、思い出を家族や親類と語り合う法事・法要。亡くなられた方を気持ちよく送り出すために、お花は欠かせないものですよね。白や紫など落ち着いた色合いのものを贈ればいいのかなと思いながら、そのときになってみないとどうしたらよいかわからないものです。そこで今回は、法事法要のお供えに花を準備するマナーをまとめました。
法事・法要とは?どんな種類があるの?
「法要」は、故人の冥福を祈るために住職にお経をあげてもらう場、「法事」は、法要とその後の会食までを含んだものをいいます。厳密には違いますが、現代では、どちらも同じで意味で使われています。
仏教では、死後すぐの葬儀以外にも四十九日までに7回法要が行われ、その後も一回忌、三回忌と定期的に行われます。なぜ何度も法要が行われるのかというと、死後7日目から7日ごとに故人が閻魔大王にさばきを受け、四十九日に来世の行き先が決まると信じられているためなんです。現世に残された家族は、故人が極楽浄土に行けるために法要を開きます。ただ、現代では初七日をすませた後は、四十九日まで法要は行わないというところも多いです。そして一回忌から三十三回忌まで行われることで故人はご先祖様になるとされています。
法要の種類
- 初七日(しょなのか):命日を含めて7日目。最近は、葬儀当日にすませてしまうこともある
- 二七日(ふたなのか):命日を含めて14日目
- 三七日(みなのか):命日を含めて21日目
- 四七日(よなのか):命日を含めて28日目
- 五七日(いつなのか):命日を含めて35日目
- 六七日(むなのか):命日を含めて42日目
- 四十九日(しじゅうくにち):命日を含めて49日目
- 百カ日(ひゃっかにち):命日を含めて100日目
- 一周忌:命日から満1年
- 三回忌:命日から満2年
- 七回忌:命日から満6年
- 十三回忌:命日から満12年
- 十七回忌:命日から満16年
- 二十三回忌:命日から満22年
- 二十七回忌:命日から満26年
- 三十三回忌:命日から満32年
法事・法要のお供えに花を準備するマナーは?
全般
トゲや毒のあるお花は使いません。これは仏様に対して失礼に当たるからとされています。また、四十九日が過ぎるまでは白でまとめた花を贈ることがよいとされています。ただ、近年は故人への慰めの気持ちや、明るい雰囲気を演出するためにピンクや紫、青などパステル調の色合いの花を加えることもあります。
参列者
遺族に「故人が亡くなるのを待っていた」というイメージを与えてしまう恐れがあることから、お通夜に花を持参するのはマナー違反です。お葬式に花を贈るときは、葬儀社や斎場に確認してからにしましょう。斎場によって置くスペースが限られるほか、宗教の流派によっても、お供えの花のルールが違うことがあります。事前に確認しておくと安心です。
法事・法要におすすめの花は?
1. 菊
花言葉 | 『高貴』『高潔』『高尚』 |
菊は、皇室の紋にもなっている、古くから日本人に愛される花の1つです。法事・法要の花としても定番で、1輪あるだけですっきりとしたお供えの花になります。近年は、スプレーマムの普及から、花持ちもよく、華やかなものが増えてきました。やさしい印象のお供えの花にしたいときは、ピンポンマムがおすすめです。
2. 百合(ゆり/リリー)
花言葉 | 『純潔』『無垢』『威厳』 |
百合は、ギリシャ神話の時代から海外でも純潔の象徴とされてきました。日本でも、結婚式のブーケからお葬式の花まで、冠婚葬祭の幅広いシーンで利用されます。ただ、法事・法要では、カサブランカなど香りが強く、花粉が服についてしまうものは嫌われることがあるので、贈るときは注意してください。
3. カーネーション
花言葉 | 『無垢で深い愛』『真実の愛』『永遠の幸福』『尊敬』など |
母の日の定番の花として知られるカーネーション。フリルのように縁が波打つ花の姿が、ほかの花と相性がよく、春の法事・法要にはよく利用されます。特に、白いカーネーションは「純粋な愛」「私の愛は生きています」という花言葉を持っており、自分のことを大切にしてくれた家族への花によいですよ。
4. デンドロビウム
花言葉 | 『天性の花を持つ』 |
デンドロビウムは、胡蝶蘭とともに人気の洋蘭の1種です。原種が1,000を超え、花色が豊富なことが特徴。法要には白のほか、紫やピンクなど淡い色のものを利用すると、お供えの花に華やかさをプラスできます。
5. スターチス
花言葉 | 『変わらぬ心』『途絶えぬ記憶』『変わらない誓い』 |
家族に別れを告げるときは、これまでの感謝の気持ちを伝えたいものですよね。スターチスは、そんな大切な存在へのお供えにふさわしい花言葉を持つ花です。見た目は控えめなので、百合や菊に淡い紫のスターチスを添えるときれいですよ。
6. アルストロメリア
花言葉 | 『持続』『未来へのあこがれ』 |
アルストロメリアは、落ち着いた色合いがアレンジメントに人気の百合の仲間です。花言葉からは、これからも故人を忘れずに生きていこうという希望が伝わってきますよね。また、切り花の花持ちがよいので、葬儀から法事・法要を開く親族にもやさしい花となっています。
7. スイートピー
花言葉 | 『門出』『別離』『優しい思い出』 |
別れを思わせる花言葉から、卒業式のプレゼントによく利用されるスイートピー。花の形が蝶に似ていることが花言葉の由来です。法事・法要に利用するときは、白、ピンク、薄い紫の3色を利用するお供えが春らしい雰囲気を作り出してくれますよ。ただ、あまり知られていませんが、花が終わった後につく豆には毒があります。故人への配慮をするなら、メッセージを一言添えるとトラブルにならずにすみますよ。
8. トルコキキョウ
花言葉 | 『優美』『希望』『思いやり』など |
トルコキキョウは、仏花によく利用される花の1つで、スカートが広がるような花びらの姿が特徴です。ポジティブな花言葉をたくさん持っており、白には「良い語らい」、濃い紫には「希望」と個別の花言葉もすてき。トルコキキョウを贈れば、大切な友人へのよい供養になりそうですね。
9. カラー
花言葉 | 『乙女のしとやかさ』『華麗なる美』『清浄』『清純』 |
女性らしい花言葉を持つカラー。シンプルな見た目から、どんな花との相性もよく、冠婚葬祭のシーンで広く利用されています。クルッと巻いた花びらは、インパクトがあるので、スターチスやスイートピーなどふんわりとした花と合わせるとよいですよ。
法事・法要の花は故人に似合うものを贈ろう
現代では法事・法要の形式も多様になり、オーダーメイド葬など故人の望むスタイルでお別れをしようというものもあります。法事法要に花を贈るのは、大切な人の供養と来世での幸せを願ってのこと。だからこそ、故人の大好きだったバラなどを形式ばらずに贈ることも増えてきました。相手を思いやりながら、親族が不快にならないようにすてきなお供えの花を贈れたらすてきですね。
更新日: 2016年03月29日
初回公開日: 2016年03月29日