ガマズミは、花や果実、紅葉を楽しむことができる落葉性の樹木です。日本では山野でごく普通に見かけることができますよ。特に秋につける真っ赤な実は、疲労回復の薬として、東北地方の狩人たちの間では古くから大切に扱われてきたそうですよ。今回は、そんなガマズミの花言葉や、実の効能、育て方についてご紹介します。
ガマズミの花言葉とは?
『結合』『私を無視しないで』『私を見て』
ガマズミの実は、1粒は小さいですが、濃紅色で華やかさがあり、人目を引く美しさがあります。このことから「私を見て」「私を無視しないで」という花言葉が付けられました。
ガマズミの学名・原産国・英語
- 学名
- Viburnum dilatatum
- 科・属名
- スイカズラ科(レンプクソウ科)・ガマズミ属
- 英名
- Linden viburnum
Japanese bush cranberry
Linden arrow-wood
- 原産地
- 日本、朝鮮半島、中国
- 開花期
- 5~6月 ※結実は9~10月
- 花の色
- 白
- 別名
- 莢蒾(ガマズミ)
蒲染(ガマズミ)
ヨツズミ
ヨウズメなど
ガマズミとは?どんな花を咲かせる樹木?
ガマズミは、日本から中国に分布する落葉低木です。日本では、北海道から九州までの全土で見ることができます。樹高は2~3mほどに生長し、縁にギザギザのある広い円形や卵型の葉っぱを付けます。5~6月頃、直径5mmほどの小さな花を、枝の先端にたくさん咲かせます。
そして、9~10月に、3~5mmほどの濃紅色の実を付けます。実はそのまま食べることができるほか、果実酒や漬物の着色料、衣料の染料としても利用されています。近年では、「ジョミ」と呼ばれる実のジュースが青森県の特産品として販売されています。
ガマズミの実の効能は?
ガマズミの実は、赤ワインと同じくらいのポリフェノールを含んでいます。ポリフェノールには、活性酸素の働きを抑え、血液をさらさらにする効果があることから、高血圧や動脈硬化の予防に効果があります。
また、ビタミンCの含有量がレモンの2倍もあり、美肌効果や疲労回復などの作用も期待できます。古くは青森県の三戸地方では、獲物を求める狩人(マタギ)たちの食料とされ、山の神からの授かりものとして大切に扱われてきました。
ガマズミの種類や品種は?
同じガマズミ属には、150種ほどが分類されており、日本でも15~16種ほどが自生しています。以下に、同じ「ガマズミ」と名前に付く植物をいくつかご紹介します。
トキワガマズミ
樹高2~3mほどに生長する落葉樹で、春になると甘い香りのする7cmほどの花を枝先にいくつも咲かせます。ガマズミが赤い実なのに対して、トキワガマズミは秋になると卵型の青い実を付けます。
ミヤマガマズミ
樹高4~5mほどに生長する落葉樹で、4~6月にガマズミに似た白い花を咲かせます。葉っぱは細長く、葉脈がくっきりとしていることが特徴です。
ガマズミの育て方のポイントは?
日当たりと風通しのよい場所で育てることがポイントです。耐陰性があるので、日陰でもある程度育ちますが、花付きや実付きが悪くなり、細い枝が伸びてしまいます。
ガマズミの種まきと苗植え!鉢植えや地植えの時期と方法は?
種まき
ガマズミの種は市販されていないことから、熟した実から採取した種を植え付けていきます。3~4月か、9~10月が種まきの適期です。実から種を取り出し、よく水洗いして果肉を落としたら、赤玉土(小粒)など清潔な土に植え付けていきましょう。
すぐに植えないときは、乾燥しないよう湿らせたバーミキュライトと一緒にポリ袋に入れ、翌年の春まで保管しておきます。発芽するまでは土が乾かないよう水やりをし、発芽したら土の表面が乾いてから水やりをして管理すると、5~6年ほどで花を咲かせるようになりますよ。樹高が10~15cmに生長したら、鉢か地面に植え替えてください。
苗植え
11~12月か、2月下旬~3月上旬に鉢か地面に植え付けます。鉢植えは、苗よりも1~2回り大きな鉢に植え付けていきましょう。地植えは、日当たりのよい場所を選び、苗よりも1回り大きな植え穴を掘ってから植えてください。木が幼いときは、風で倒れやすいので、支柱を立てると安心です。
ガマズミの土作り、水やり、肥料の与え方は?
土作り
水はけのよい肥沃な土に植えていきます。鉢植えは、赤玉土(小粒)7~8:腐葉土2~3の割合で混ぜた土か、市販の樹木用培養土を使うのがおすすめです。地植えは、植え穴を掘った土に黒土や堆肥、腐葉土を混ぜて水はけや水もちをよくしておきます。
水やり
鉢植えは、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。ただ、湿度が高くなると実付きが悪くなるので、乾くまでは与えないようにしましょう。地植えは、根がはるまでは土の表面が乾いたタイミングで水やりをしますが、その後は必要ありません。
肥料の与え方
5月と11~12月に、ゆっくりと効く緩効性化成肥料を株元に少し与えるだけで十分です。
ガマズミの剪定の時期と方法は?
12~3月が適期です。そのままの樹形でも十分美しく生長するので、余計な枝を少し切り落とす程度の剪定でかまいません。必ず枝が分かれている箇所の根元から切り落としてください。あとは、混み合っている枝をきちんと整理することで、風通しや幹への日当たりをよくし、生育を促すことができます。
ガマズミの植え替えの時期と方法は?
鉢植えは、2~3年に1回植え替えをして根詰まりを防ぎます。地植えは、植え替えの必要はありません。植え替えの手順や時期は、植え付け時と同じです。
ガマズミの増やし方!挿し木の時期と方法は?
種まき、挿し木で増やすことができます。種まきは植え付けでご紹介した時期と手順で行います。
挿し木
6~8月が適期です。その年に伸びた新しい枝を10~15cmほどの長さに切り、先端の葉っぱを2~3枚残して他を切り落とします。そして、0.5~1時間ほど切り口を水に浸けたら、赤玉土(小粒)や市販の挿し木用の土に挿していきましょう。
土が乾かないよう水やりをして日陰で管理すると、1ヶ月ほどで発根し、新しい株に生長します。
ガマズミの栽培で注意する病気や害虫は?
ガマズミは基本的に病害虫に強い植物です。しかし、日当たりや風通しが悪いと、カイガラムシが発生することがあります。幼虫のうちは薬剤を散布して駆除していきましょう。
ただ、成虫は硬い殻に覆われており、薬剤が効きづらいので、見つけたら歯ブラシなどで株からこすり落としてください。
ガマズミの花や実を楽しもう!
ガマズミはそれほど手入れの必要もなく、比較的小さな庭でも育てることができる花木です。春の白い花、晩夏から秋にかけて濃紅色の鮮やかな果実、そして紅葉と長く楽しめますよ。庭が少しさびしいなと感じたら、ガマズミの木を1本加えてみてください。
更新日: 2022年03月30日
初回公開日: 2015年12月24日