真っ赤な実の房を垂れ下げる姿が美しいナナカマド。葉っぱも真っ赤に紅葉し、青空とのコントラストが美しい樹木です。寒さに強く、育てやすいことから、街路樹として全国各地で見ることができますよ。今回は、そんなナナカマドの花言葉と育て方、実の特徴についてご紹介します。
ナナカマド(七竈)の花言葉
『慎重』『安全』『私はあなたを守る』『懸命』
ナナカマドが、燃えにくい木材として知られることにちなんで、「慎重」という花言葉が付けられました。「私はあなたを守る」は、雷神トールがナナカマドの木に止まって命を助けられたという北欧神話のエピソードや、ナナカマドの枝で十字架を作り、魔除けをしていたというヨーロッパの風習に由来します。
ナナカマド(七竈)の学名・原産国・英語
- 学名
- Sorbus commixta
- 科・属名
- バラ科・ナナカマド属
- 英名
- Japanese rowan
Mountain ash
- 原産地
- 日本、朝鮮半島
- 開花期
- 5~7月
- 花の色
- 白
- 別名
- –
ナナカマド(七竈)とは?花や実の特徴は?
ナナカマドは、バラ科・ナナカマド属に分類される落葉性の高木です。日本全国に街路樹として植えられています。特に北海道では、「慎重」「安全」といった花言葉から、雪の時期の交通事故がなくなることを願って、たくさん植えられているんですよ。
樹高は7~10mほどに生長し、縁がギザギザした葉っぱを枝に付けます。そして、初夏から夏にかけて、1mmほどと小さな花が房状に集まって咲きます。秋には真っ赤な実を付けた後、葉っぱが紅葉します。
実は、葉っぱが落ちた後も腐らずに残り、鳥達の冬の貴重な食料となっています。実が腐らないのは、ソルビン酸という物質を含んでいるためで、食品の保存料として利用されています。ただ、ソルビン酸を大量に摂取してしまうと、体の中の有益な微生物を死滅させてしまう恐れもあることから、注意が必要だとする声もあります。
名前の由来
7回かまどで焼いても燃え尽きないほど丈夫な樹木であることから、「七竈」と名付けられました。
ナナカマド(七竈)の育て方のポイントは?
日当たりのよい場所を選び、腐植質の多い土に植えることがポイントです。日当たりが悪いと花付きが悪くなり、病害虫の被害を受けやすくなります。
ナナカマド(七竈)の種まき、苗植えの時期と方法は?
種まき
9~11月に、熟した実から種を採取して育てることができます。品種によっても違いますが、3~10年ほどで実を付けるまでに生長し、主に接ぎ木用の台木として栽培されることが多いです。
1. 水洗いをして種から果肉をきれいに取り除く
2. 赤玉土(小粒)など種まき用の土にまく
3. 発芽するまでは、土が乾かないよう水やりをして管理する
4. 芽が出たら日当たりのよい場所で、土が乾いたら水やりをして育てる
5. 株の生長に合わせて、適度な大きさの鉢に何度か植え替える
6. 樹高が20cm以上に生長したら、地面に植え替える
苗植え
11~3月が適期です。大きく生長するので、鉢植えには向きません。地面に苗よりも1~2回り大きな植え穴を掘り、植え付けていきましょう。寒さに強いとはいっても、株が幼いうちは雪の降る時期の植え付けは避けた方がよいですよ。
ナナカマド(七竈)の土作り、水やり、肥料の与え方
土作り
腐植質をたっぷりと含んだ、水はけのよい土を好みます。植え穴を掘った土に、腐葉土や堆肥をたっぷりと混ぜておきましょう。
水やり
特に水やりの必要はありません。ただ、乾燥には弱いので、真夏など土がカラカラに乾いてしまっているときは、水を与えてもかまいません。
肥料
痩せた土地でも育つほど丈夫なので、植え付け時に腐葉土や堆肥を混ぜておけば、特に追加で肥料を与える必要はありません。
ナナカマド(七竈)の剪定の時期と方法は?
葉っぱが落ちている11~3月が適期です。風通しをよくするために、混み合っている枝や不要な枝を間引いていきましょう。ナナカマドは、切り口がふさがりにくいので、太い枝を切ったとは、癒合剤を塗っておくと安心です。ないときは、木工用ボンドでも代用できます。
ナナカマド(七竈)の増やし方!接ぎ木や挿し木の時期と方法は?
ナナカマドは、種まき、接ぎ木、挿し木で数を増やすことができます。種まきの時期や手順は、植え付け時と同じです。接ぎ木や挿し木は、3~4月が適期です。
接ぎ木
1. 種から育てた苗を台木とし、地上5cmほどのところで水平に切る
2. 台木の切り口に刃を入れ、逆三角形の切り口を作る
3. 増やしたい枝を5~10cmほどの長さに切り取る
4. 枝の切り口を、台木の切り口と合うようにカットする
5. 台木と枝を密着させ、接ぎ木テープで巻いて固定する
6. 切り口が乾燥しないよう、ビニールで覆う
挿し木
前の年に伸びた枝を5~10cmほどの長さに切り取り、赤玉土(小粒)に挿していきます。土が乾かないよう水やりをして管理し、十分に根が生えたら地面に植え替えてください。
ナナカマド(七竈)の栽培で注意する病気や害虫は?
うどんこ病
小麦粉をまぶしたように茎葉が白くなる病気です。病気にかかった部分は切り落とし、薬剤を散布して拡大を防ぎます。
アブラムシ
茎葉や新芽に寄生する害虫で、栄養を吸い取って株を弱らせます。大量に発生しやすく、排泄物はすす病を誘発する恐れもあるので、見つけたらすぐに殺虫剤を散布して駆除してください。
ナナカマド(七竈)の実は冬が見頃の季節
秋に真っ赤な実を付けるナナカマド。雪が降る中でも実は腐らずに残り、白と赤の美しいコントラストを楽しむことができます。また、食料を求めて飛んでくる鳥達の姿を見ることができます。丈夫で大きく育つことから、庭のシンボルツリーにもぴったり。ぜひ庭の仲間に加えてみてください。
更新日: 2021年03月24日
初回公開日: 2016年01月25日