のびのびと育った大きな樹木は、人を惹きつける魅力にあふれています。商店街に植樹するとお客さんが増えるという話もあるくらい、開放的でオープンな雰囲気を演出してくれますよ。訪れた人に安らぎを与え、家族みんなが明るい気持ちになる、そんな理想のお庭をつくりたいものですね。今回は、樹木とはどんな植物なのか、剪定の時期や方法、庭木におすすめの種類などをまとめました。
樹木とは?
樹木とは、太い幹をもち、1年以上一箇所に定着して存在し続ける植物の総称です。草花との違いは、なんといってもその高さや太さ。リグニンという細胞を幹の内部に蓄積することで、ときに数十mの高さに生長します。同じ細胞は草花にも存在しますが、その量は樹木に比べて少なく、大きくなる地上部を支えるには限界があります。多くの樹木が何十年と生き続ける理由は、大きくなるために適した体の構造をもっているからなんですよ。
樹木の分類の仕方は様々で、背丈によって「高木」や「低木」、葉っぱの大きさから「針葉樹」と「広葉樹」、葉っぱの性質「落葉樹」や「常緑樹」などがあります。
樹木の剪定。時期や方法は?
樹木の剪定の時期は種類によって異なります。一般的に、常緑樹は新芽が生え始める3月~4月頃、落葉樹はすべての葉っぱが落ちた11~2月に行います。花木は、花後すぐにすると花芽やつぼみを切り落とす心配がありません。
剪定の方法としては、長く伸びすぎた勢いのよい枝や細枝だけを切り落とす「弱剪定」と、樹冠そのものをつくり直す「強剪定」の2種があります。樹木によっては剪定が大変なものがあるので、大掛かりなものは専門の業者に依頼するのも1つの方法ですよ。
庭木におすすめの樹木の種類10選
庭木は何年もかけて少しずつ大きくなるので、植えたら完成というものではありません。季節ごとの手入れが大切ですし、長く付き合っていけば病害虫に困ることもあるはず。負担にならず、よい関係を築いていけそうな種類をじっくり選ぶことが大切ですよ。下記に、庭木におすすめの樹木を10種ご紹介します。
1. ユーカリ
コアラの食料として知られるユーカリは、オーストラリアやニュージーランドに自生する常緑性の高木です。繊細な姿の葉っぱがすずしげで、レモンユーカリなど香りのよい品種ほど、シンボルツリーとして人気があります。ただ、生命力が強く、根をよく生やしながら大きく生長するので、植え場所はきちんと選んだ方が安心です。
2. シマトネリコ
シマトネリコは、沖縄に自生する常緑高木です。艶のある小さな葉っぱがかわいらしく、枝も細いことから、和風・洋風どちらの雰囲気とも相性がよいと近年人気が出てきました。よく、一軒家のシンボルツリーとして植えられている姿が見受けられますね。
本来、1年中緑の葉っぱを茂らせますが、日本の寒さに当たると葉っぱが枯れ落ちてしまいます。ただ、枯れているわけではないので、心配しすぎなくても大丈夫ですよ。
3. 月桂樹(ゲッケイジュ/ローリエ)
葉っぱがローリエというスパイスとして、肉や魚料理の臭み消しに利用される月桂樹。常緑性の高木で、古代ギリシャでは太陽の神アポロンの木として大切にされてきました。
樹高は10~15mほどに生長し、葉や枝を密に1年中茂らせるので、高い位置の目隠しや生垣に仕立てるのがおすすめです。暑さにも寒さにも強く、生育旺盛なので、毎年きちんと剪定をして樹形を整えてあげましょう。
4. ゴールドクレスト
庭木に利用される代表的な針葉樹といえばゴールドクレスト。別名、コニファーとも呼ばれ、洋風の庭づくりには欠かせない存在となっています。クリマスツリーに利用されることが多いように、寒さに強いことも人気の理由です。
一方夏の湿気や暑さには弱いので、株が蒸れないよう夏前に刈り込んでおきます。三角形に刈り込まれることが多いですが、トピアリー仕立てにしてもかわいらしですよ。
5. ハナミズキ
ハナミズキは、アメリカでは「ドッグウッド」と呼ばれ、日本の桜のような存在として親しまれている落葉高木です。
花が気を覆い隠すようにたくさん咲くことから、庭のシンボルツリーとして人気があります。また、北海道以外であれば、どこでも育てられるほど丈夫なこともポイントです。落葉するので落ち葉拾いの手間はありますが、紅葉するなど四季折々の美しい姿を見せてくれますよ。
6. クチナシ(梔子/ガーデニア)
世界三大香木の1つに数えられるクチナシは、初夏に咲く花の甘くやさしい香りが特徴です。香りがジャスミンに似ていることから、海外では「ケープジャスミン」と呼ばれていますよ。
日当たりのよい場所を好み、乾燥と寒さには弱いので、庭木として育てるなら関東以南がおすすめ。自然に樹形が整うので、剪定も枝を切りそろえる程度と楽ちんです。
7. ドウダンツツジ
春につぼ型の白い小花をたくさんつけ、秋には燃えるような紅葉を楽しませてくれる花木がドウダンツツジです。庭の生垣によく使われる低木で、強い剪定にもよくたえるので、好みの樹形を楽しめます。落葉樹ではありますが、細かい枝をたくさん茂らせるので、葉っぱが落ちても目隠しの役割を十分果たしますよ。
8. 沈丁花
沈丁花は、外側が濃いピンク、内側が白い花が美しい春の花木です。常緑性の低木で、花から漂う甘い香りが春の訪れを知らせてくれることから、玄関先などのちょっとしたスペースに植えられることが多くあります。直射日光が苦手で、強い日差しが根に当たると傷んでしまうので、株元を腐葉土やワラでマルチングしておくと生育がよいですよ。
9. キンモクセイ(金木犀)
秋の花木の代表格である金木犀。オレンジ色の花の香りは、香水やルームフレグランスに利用されるほど人気です。常緑性の小高木で、日光を浴びれば浴びるほど生長します。ただ、大気汚染の影響を受けやすく、空気の汚いところでは花つきが悪くなるので、道路沿いに植え付けないよう注意してくださいね。
10. ローズマリー
ローズマリーは、生や乾燥させた葉っぱが香辛料や薬剤に利用されるハーブです。常緑性の低木で、20~200cmと種類によって樹高は様々。屋外で育てるなら、水はけのよい場所に植え付けることが元気に育てるコツです。後は乾燥に強く、生育も旺盛なので、水やりをしなくても大きく育ってくれます。葉っぱは、ハーブティーやスパイスに活用して楽しめます。
樹木の種類はたくさん
植物も樹木のように大きなものになると、手入れが大変なのではないかと思い、必要以上に身構えてしまいがち。特に剪定に慣れていないと、枝ぶりや樹形に神経質になりすぎて、手入れ疲れしてしまうことも。満足のいく姿に育てるには、まずは育てる側がリラックスして臨むことです。愛情をもって接していれば、どんな庭木でもきっと応えてくれますよ。
更新日: 2021年12月15日
初回公開日: 2016年04月04日