ピーマンは、独特なニオイと苦みがくせになる野菜です。実はトウガラシの仲間で、ビタミンなど豊富な栄養がたくさん含まれています。近年は、完熟させたカラフルなカラーピーマンも多く出回り、サラダや炒めものなどの料理に幅広く利用され、食卓を彩る緑黄色野菜としても人気です。今回は、そんなピーマンの育て方について、栽培のポイントや種まき、苗植えの時期と方法などをご紹介します。
ピーマンの栽培のポイントは?
清潔な土で、乾燥と肥料不足に注意して育てます。一度、使用した土を再利用すると連作障害を起こしやすいので、過去3~4年の間でナス科の植物を育てた土は使わないようにしてください。接木苗を購入すれば連作障害を気にせず栽培できますよ。また、乾燥や肥料が足りない環境で育てると、果肉の辛みが増してしまいます。
ピーマンの種まきの時期と方法とは?
発芽適温は20~25度と高いことから、3~5月上旬頃の暖かくなってきた頃が種まきの適期です。
1. 育苗ポットやセルトレイに赤玉土(小粒)など種まき用の土を入れる。
2. 育苗ポットには3粒、セルトレイそれぞれに1粒、育苗箱は1~3cm間隔に1粒種をまく。
3. 土を被せて、種が流れないように霧吹きなどで水やりをする。
4. 種まき容器を新聞紙などで覆って保温し、土が乾かないよう水やりをして管理する。
5. 発芽し、本葉が2~4枚になったら生育のよいものを選んで育苗ポットに1株ずつ植え替える。
6. 本葉が10枚ほどになったら、プランターや地面に植え替える。
ピーマンの苗植えの時期と方法は?
種から育てるのに慣れていない方は、苗を購入して育てていくのがおすすめです。植え付けの適期は4月下旬~6月上旬で、鉢やプランター、地面に植えて栽培していきます。
鉢植え
10号以上で、深さのある鉢に1株を目安に植え付けます。水はけをよくするために鉢底にネットを敷き、鉢底石を敷き詰めます。根に付いた土は落とさず、鉢の縁から下2cmほどのところに土がくるようにしてください。植え付けたら水をたっぷり与えます。
プランター
大きく深型のプランターに、株同士の間隔を20cm以上空けて植え付けます。20L以上の深型プランターに2株が目安です。後は、鉢植えと同じ手順で苗を植えてください。天気のよい午前中に行うと、うまく根付いてくれますよ。
植え付け後はマルチや敷きワラ、新聞紙で土を覆って泥の跳ね返りを防ぎ、害虫や病気の発生を予防します。根付くまでのおよそ1週間は、土が乾燥しないよう毎日たっぷり水を与えます。
地植え
日当たりのよい場所を選び、土作りをすませた土壌をポリマルチで覆い、株同士の間隔を45cmほど空けて苗を植えていきます。根に付いた土は崩さず、浅植えにするのがポイントです。
ピーマンの土作り、水やり、肥料の与え方は?
土作り
通気性と水はけのよい土を好みます。鉢やプランター植えは、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:バーミキュライト1の割合で混ぜ、少量の苦土石灰を加えた土がおすすめです。市販の野菜用培養土を使ってもかまいません。
地植えは、植え付ける2週間前から土作りをはじめます。日当たりと水はけのよい場所を選んだら、苦土石灰120g/m²と堆肥3kg/m²を入れてよく耕します。そして、1週間ほど寝かせた後、土に肥料を混ぜ込み、畝を作ります。畝の幅は60~120cm、高さは5~10cmほどあればよいですよ。水はけの悪い畑の場合は畝を高くしましょう。
水やり
土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えます。湿度の高い環境が苦手で、水の与えすぎは根腐れの原因となります。一方、乾燥にも弱いので、夏場の乾燥には気をつけてください。
肥料の与え
植え付ける1週間前に、野菜用のゆっくりと効く緩効性化成肥料か、牛糞堆肥を土に混ぜておきます。そして、1個目の実が付いてからは、2週間に1回化成肥料を与えるか、週に1回ほど液肥を水やりと一緒に施しましょう。ピーマンは次々と実ができるので、株が消耗しないよう肥料をたっぷりと与えるのがコツです。
ピーマンの手入れ!支柱立てや剪定(摘心)の時期と方法は?
支柱立て
茎が弱く折れやすいことから、草丈が40~50cmほどに生長したら、株の脇に支柱を1本立てていきます。苗と支柱を、紐で8の字に結んでください。そして、最初の実が付いた頃からは、脇芽がたくさん伸びてきます。剪定をしてから脇芽の生えているところで2本の支柱をクロスさせ、それぞれの脇芽を左右の支柱に結んでください。
剪定(摘心)
最初の花が咲いたら、その下の脇芽は全て摘み取っていきます。花より上の茎は、生育のよいものを左右に1本ずつ残し、他は摘み取ってください。それ以降は枝や葉が込み合うようになったら、重なる部分を摘み取りましょう。
ピーマンの収穫時期と方法は?
ピーマンの収穫は、開花後15~20日が目安です。肥料と水をしっかり与えていれば、6月中旬~11月中旬頃までの長い間収穫を楽しめます。霜が降りるまで採れます。
6~8cmほどの大きさ生長した実をヘタの部分からハサミで切って順々に収穫していきます。株が疲れてしまわないように、できるだけ早く実を収穫していくことが大切です。収穫の終盤になる秋は、収穫を遅らせて実を熟させ、カラーピーマンにして収穫するのもよいですよ。
特に1番果は未熟なうちに収穫してください。1番果を採り遅れると収穫量が著しく減ってしまいます。
ピーマンの栽培で注意する病気や害虫は?
モザイク病
感染した野菜の茎葉や花に黄色い斑点が現れるウイルス性の病気です。治療できないので、病気にかかった箇所を切り落とし、薬剤を散布して拡大を防ぎます。土をマルチングしたり、清潔なハサミやナイフを使ったりすることで予防できます。
アブラムシ
新芽が出る時期に発生しやすい害虫で、針を突き刺して株の栄養を吸い取ります。また、排泄物はモザイク病やすす病を誘発する危険があるので、見つけたらすぐに殺虫剤を散布し、早めに駆除していきましょう。委縮している葉を見つけたらその葉の裏にアブラムシがいる可能性大です!
ピーマンは1株でたくさんの実を収穫できる
1株あれば、平均40~50個と、ピーマンは1シーズンでたくさんの実を収穫することができる野菜です。多いと、100個以上の実を収穫できることも少なくありません。ビタミンAとC、鉄・カルシウムなどビタミンとミネラルがたくさん含まれており、疲労回復効果から夏バテや夏かぜの予防に役立ってくれますよ。家で栽培したピーマンを収穫して、色々なレシピにアレンジして楽しんでみてください。
更新日: 2021年05月26日
初回公開日: 2016年01月06日