花言葉には、ポジティブな意味ばかりではなく、悲しい思いや切ない気持ちを伝えるものもたくさんあります。花言葉や名前の由来には、神話や言い伝えが由来となるケースが多く、その内容によってポジティブだったりネガティブだったりするからなんですよ。
今回は、悲しい、切ない気持ちになる花言葉を持つ花を15種ご紹介します。
1. 紫のクロッカス
『愛の後悔』
クロッカスは、地中海沿岸が原産の球根植物です。花全体の花言葉は「青春の喜び」とポジティブな意味を持ちますが、紫色のクロッカスは由来となったギリシャ神話にちなんで、「愛の後悔」という花言葉が付けられています。
美青年クロッカスは、羊飼いの娘スミラックスと恋に落ちますが、神々がこれを許さず、絶望したクロッカスは死んでしまいます。残されたスミラックスは悲しみに泣き暮らし、これを憐れんだ花の女神フローラが2人を花に変えた、という神話です。
花言葉が気になる方は、黄色や白色のクロッカスと合わせて育てるとポジティブな意味合いも合わせられますよ。
2. ワスレナグサ
『私を忘れないで』『真実の愛』
ワスレナグサは、冬から春に花を咲かせるヨーロッパ原産の多年草です。ただ、夏の暑さに弱いため、日本では一年草として扱われます。
花言葉は、名前の由来にもなった悲恋物語に由来します。ドナウ川のほとりを散策していたルドルフとベルタ。この草を見つけたルドルフが摘もうとして川に落ちてしまいます。「僕を忘れないで」と叫んで、花を岸に投げ死んでしまうルドルフ。残されたベルタは、生涯この花を身につけて暮らしたといいます。このベルタが大切にしていた花がワスレナグサなのです
。青い小さな花が、2人の涙をあらわしているような切ない物語ですね。寂しい気持ちになったときは、紫やピンクなど色違いのワスレナグサを植えて、花壇や鉢を賑やかにしてみてください。
3. ハナズオウ
『裏切り』『不信仰』
中国原産の花木、ハナズオウ。南ヨーロッパに自生するものは、セイヨウハナズオウと呼ばれます。花黒みを帯びた紅色をズオウ色といい、この色名にちなんで名付けられました。
悲しい花言葉の「裏切り」は、キリストの弟子ユダが、自分の罪を後悔し命を絶った木として有名なことに由来します。そのため、別名「ユダの木」ともいわれることもあるんですよ。
桜や梅のように鮮やかで、濃いピンク色の花を3〜4月頃に咲かせます。花言葉はネガティブですが、育てやすく花もきれいなので、自分の庭で育てるのがおすすめです。
4. 黒百合(クロユリ)
「呪い」
黒百合は、日本やカムチャッカ半島、北アメリカの標高の高い場所に自生する高山植物です。花姿がユリに似ていますが、ユリ属ではなくバイモ属と別種にあたり、ユリにはない黒い花を咲かせるのが特徴です。
「呪い」という花言葉からは、怖い印象をうけますよね。戦国時代、佐々成政という武将が、密通した罪で側室小百合(さゆり)を殺してしまう話にちなんで付けられました。これは仕組まれた殺人で、小百合は無実でお腹に成政の子をみごもっており、「立山に黒百合が咲いたら、佐々家は滅亡する」と呪いをかけて死んだとされたことが由来となっています。
黒百合自身にはあまり関係のない話にも聞こえますが、プレゼントとして贈られることは少ないようです。自分だけでひっそりガーデニングを楽しみたい方は、黒百合を育ててみるのも楽しそうですね。
5. ゲッカビジン(月下美人)
『はかない恋』「はかない美」
ゲッカビジンは、メキシコが原産の多肉植物です。甘く官能的な香りを漂わせながら、夜8時頃に花を咲かせはじめ、午前3時頃には花を閉じる性質があります。
夜に開花するのは、原産地のメキシコで夜行性のコウモリに受粉してもらっていたためといわれています。ただ、夜の限られた時間にしか咲かず、一晩で枯れてしまうと信じられていたことが、花言葉や名前の由来となりました。鉢植えをインテリアとして室内で栽培するのとすてきですよ。
6. アネモネ
「はかない恋」「恋の苦しみ」「見捨てられた」「見放された」
アネモネは、地中海沿岸を原産とする、カラフルな花を咲かせる球根植物です。花びらを持たず、萼片(がくへん)と呼ばれる葉っぱが変化した部分が色づき、鮮やかな花のように見えています。春風が吹きはじめる頃に咲く姿が印象的なことから、ギリシャ語の「アネモス(風)」にちなんで名付けられました。
花言葉は、西風の神ゼピュロスと花の神フローラの次女アネモネが登場する悲恋のギリシャ神話に由来します。「西風の神は自分を愛している」と花の神フローラは思っていました。
しかし、実際は自分の次女を愛していたことを知り、次女を追い出してしまいます。西風の神は花の神との平和を保つため、アネモネを見捨て、彼女を花の姿に変えてしまったのです。母にも恋人にも見捨てられたことから、「見放された」などの花言葉が付けられました。
そんな花言葉を持つアネモネですが、冬や春の花壇を飾る植物としては人気が高く、ガーデニングによく取り入れられています。また、「君を愛す」というポジティブな花言葉を持つ赤色なら、ネガティブな花言葉も吹き飛ばしてしまいそうですね。
7. チョコレートコスモス
『恋の終わり』『恋の思い出』『移り変わらぬ気持ち』
チョコレートコスモスは、チョコレートのような甘い香りを放つ、メキシコ原産の多年草です。ダークな赤紫色の花びらが特徴で、「恋の終わり」「恋の思い出」など、大人の恋を表す花言葉を持ちます。
好きだけど別れなければならない、切ない恋を思わせる花言葉ですね。野生のものは絶滅したともいわれ、今では人工的に数を増やして販売されています。貴重なチョコレートコスモスを植えてすてきな庭造りを楽しんでみてくださいね。
8. 黄色い水仙
『愛してほしい』『愛に応えてください』『私のもとへ帰って来て』
水仙はスペイン、ポルトガルなどヨーロッパ原産地の球根植物です。学名の「ナルシサス」はギリシャ神話に登場するナルキッソスという少年に由来しています。
「うぬぼれ」などの花言葉で有名ですが、黄色の水仙は、それとは別のギリシャ神話が由来となって「愛してほしい」などの切ない花言葉が付けられています。
冥王ハーデスは、大地に恵みをもたらす女神デメテルの娘、ペルセポネに恋をして、水仙を摘んでいた彼女を無理やり冥界に連れ去って妻にします。連れ去られるときに落とした水仙が、その語黄色の花を咲かせるようになりました。
女神デメテルは、ハーデスから娘を取り戻そうとしますが叶わず、娘を思う母の気持ちが由来となって、「私のもとへ帰ってきて」という花言葉が生まれました。一方、冥王ハーデスは愛しいペルセポネの愛を得られなかったことから、「愛に応えてください」という花言葉が生まれました。
白色が有名な水仙ですが、黄色の水仙を育てるときは、この神話を思い出しながら、愛情を込めて育ててあげてくださいね。
9. スカビオサ(セイヨウマツムシソウ)
『不幸な愛』『私はすべてを失った』『未亡人』『悲しみの花嫁』
欧米では、紫や青の花には悲しい花言葉を付けることが多くあります。マツムシソウもそんな花の1つです。
「ヒュアキントスの血からヒヤシンスが生まれた」とされるギリシャ神話に由来して花言葉を付けられました。また、ヨーロッパでは、伴侶を失った未亡人へ贈る花とされていることから、「未亡人」という悲しい花言葉が付けられているんです。
日本では紫色は高貴な花のイメージをもつ場合が多いので、プレゼントするときは、相手の気持ちや状況に配慮しながらプレゼントしてあげるとよいですよ。
10. マリーゴールド
「嫉妬」「絶望」「悲しみ」
マリーゴールドは、一年草と多年草の品種がある、メキシコ原産の植物です。オレンジや黄色の花を咲かせ、害虫を寄せ付けない性質から、コンパニオンプランツとしてガーデニングや家庭菜園に広く利用されます。
マリーゴールドは、「聖母マリアの黄金の花」を意味し、年に数回ある聖母マリアの祭日にいつも咲いていることにちなんで名付けられました。黄色はキリストを裏切ったユダの衣の色であったことから、欧米では黄色を目の敵にする風潮があるようです。
また、黄色の花の花言葉は、悲しいものが多いので、プレゼントよりは自宅の花壇やお部屋に飾るのがおすすめです。
11. 黄色いチューリップ
『希望のない恋』『望みのない恋』
チューリップといえば、春を代表する花の1つですよね。王冠のような変わった形の花を咲かせ、花壇を色とりどりに飾ってくれます。そんなかわいらしいチューリップですが、黄色の花に付けられている花言葉は「希望のない恋」「望みのない恋」。プレゼントにはおすすめできませんが、寄せ植えの差し色として活用するとよいですよ。
12. 朝顔
『はかない恋』
夏の花と聞かれて、朝顔を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。ラッパ型の花がかわいらしく、青や紫など涼しそうな色合いで、夏の暑さを和らげてくれます。
そんな身近な存在の朝顔に付けられている花言葉は「はかない恋」となっています。これは、朝に咲いた花が午後にはしぼんでしまうという、花の寿命が短命なことに由来しています。
13. あじさい(紫陽花)
『浮気』『移り気』『辛抱強い愛』
梅雨の時期を迎えると、淡いピンクや青の花を咲かせて町を彩るあじさい。小さな花びらが集まって、形作られる手まりのような花が印象的ですよね。あじさいの花の色は、土の酸性度合いによって変わるんです。この性質から、「浮気」「移り気」という花言葉が付けられました。
ただ、花が寄り添い合って咲いている姿から、「辛抱強い愛」といったポジティブなイメージの方が強いですよ。
14. シクラメン
『内気』『はにかみ』『清純』『きずな』『愛情』『思いやり』『緻密な判断』『嫉妬』『憧れ』
シクラメンは、ポジティブなものもネガティブなものも、色々な印象の花言葉を持っています。「嫉妬」「内気」「はにかみ」など、内向的な雰囲気の花言葉は、シクラメンの花が下向きに咲くことから付けられました。花びらが上を向いていますが、花を近くで見ると、雄しべや雌しべは下に向かって伸びていますよ。
冬の鉢花として室内で育てるイメージがまだまだ強いですが、寒さに強いガーデンシクラメンは地植えでも楽しめます。パンジーやプリムラなど、同じ時期に咲く花と寄せ植えの相性もよいですよ。
15. キンセンカ(金盞花/カレンデュラ)
『寂しさに耐える』『悲嘆』『別離の悲しみ』『失望』
キンセンカは、その花びらを油に浸して作られるカレンデュラオイルが女性に人気の花です。オレンジや黄色などビタミンカラーの花色が、見ている人に元気を与えてくれます。
しかし、そんなキンセンカに付けられている花言葉は「別れの悲しみ」「悲嘆」「寂しさ」「失望」など悲しいものばかり、これは、太陽神アポロンと水の精クリティ、レウトコエ王女の三角関係によるギリシャ神話の悲恋のエピソードに由来しているんですよ。
12~6月と開花期が長く、丈夫な性質からガーデニングでは初心者におすすめの花となっています。満開になったら、切り花にして楽しむのもよいですよ。
悲しい、切ない花言葉を持った花のプレゼントにはメッセージカードを
花言葉は西洋でつけられたものが多く、原産地や国、文献によってもその意味や由来は様々。同じ花でも、ポジティブな花言葉とネガティブな花言葉の両方を持っていることもあり、花色や本数によって変わってくることもよくあります。
ネガティブな花言葉は、不幸な占いと同じように気にしないことも大切です。プレゼントに利用するときは、伝えたい気持ちを書いたメッセージカードを同封すると、花言葉で勘違いさせることがなくなるので安心ですよ。
更新日: 2022年06月15日
初回公開日: 2016年04月14日