色とりどりの花が咲き誇り、賑やかだった春が過ぎると、今度は夏に向けての準備がはじまります。移りゆく季節を感じ取っていち早く花をつけるもの、春を惜しむように咲き続けるものが混ざり合う初夏は、個性豊かな花であふれています。
今回は、ガーデニングにおすすめの初夏の花を20種ご紹介します。
初夏の花の目次
●葵(タチアオイ/ホリホック)
●アジサイ(紫陽花)
●花菖蒲
●クチナシ(梔子/ガーデニア)
●アガパンサス(紫君子蘭)
●ハマナス(浜茄子)
●芝桜
●ビバーナム・スノーボール
●ヤマボウシ
●テッセン(鉄線/鉄仙)
●さつき(サツキツツジ)
●エニシダ(金雀枝)
●ホタルブクロ
●ナスタチウム(キンレンカ/金蓮花)
●エルダーフラワー
●バラ
●芍薬
●フェイジョア
●デルフィニウム
●ニゲラ(クロタネソウ)
●初夏の花をプランターや花壇に植えてみよう
初夏の花20選
1. 葵(タチアオイ/ホリホック)
太陽に向かってぐんぐん伸びる葵は、生命力あふれる雄大な咲き姿が魅力です。梅雨〜夏にかけて、そびえ立つような長い茎にびっしりとつぼみをつけ、白、ピンクなどの色鮮やかな花を次から次へと咲かせます。
繁殖力旺盛でこぼれ種でも増えるので、親株が老化しても子株が生長していきます。直射日光にとにかく強く、西日のきつい窓の下に植えると日よけ効果も期待できますよ。
花色 | 白、赤、ピンク、オレンジ、黄、黒、紫、複色など |
開花期 | 6~8月 |
植付期 |
|
2. あじさい(紫陽花)
天気も気分も曇りがちな梅雨の頃、美しいあじさいの花を見るのは楽しみですよね。「辛抱強い愛」という花言葉も、まるで梅雨の長雨に耐えるよう。
そんな健気な花姿は、日本人に古くから愛されてきました。根元の乾燥を嫌うため、日当たりがよすぎる場所では敷きわらをすると効果的です。水をたっぷり与えて育ててみてください。
花色 | 白、青、紫、赤 |
開花期 | 5~7月 |
植付期 | 苗植え:3~4月、9月 |
3. 花菖蒲
花菖蒲は、梅雨の風物詩として江戸時代から愛されてきた園芸植物の1つです。見た目はアヤメやカキツバタとよく似ていますが、80〜100cmほどと背が高く、大輪で花びらの根元が黄色く色づくのが特徴です。
畑地でも湿地でも育てられ、紫系統を中心に、黄、白、複色など約5000以上の品種を楽しめます。
花色 | 青、青紫、紫、白、ピンク、黄、複色 |
開花期 | 6~7月 |
植付期 | 苗植え:3~7月、9~11月 |
4. クチナシ(梔子/ガーデニア)
梅雨になると、どこからともなく漂ってくるクチナシの香り。ジャスミンにたとえられるその甘く強い香りは、半径5m以上離れた場所まで満たしてくれます。白い花の直径は5〜6cmほどで、咲き進むにつれて黄色味を帯びていきます。
初夏の訪れを告げる花木として和風庭園や茶花に使われるため、和の印象が強く、橙赤色の果実はきんとんやたくあんの着色料にも利用されます。寒さに弱いところがあるので、関東より北の地域では、鉢植えにすると長く楽しめますよ。
花色 | 白 |
開花期 | 6~8月 |
植付期 | 苗植え:4~6月、9~10月 |
5. アガパンサス(紫君子蘭)
アガパンサスは、梅雨〜初夏の花壇で見かけることの多い多年草です。地際から太く、長い茎を伸ばして生長し、細長いラッパ型の花を放射線状に咲かせます。1個の花の長さが5cmほどもあり、先端に30個ほどまとまってつくので、1株でも見応えがありますよ。
こぼれ種で増えるほど繁殖力が強く、日光が少ない場所でもよく育ち、土質にも影響されない丈夫な植物です。植え付け後、数年は植えっぱなしでよく、多年草の栽培がはじめての方でも安心です。
花色 | 青紫、紫、白、ピンク、複色 |
開花期 | 5~7月 |
植付期 | 種まき:4~5月、10~11月 苗植え:3~6月、9~10月 |
6. ハマナス(浜茄子)
ハマナスの語源は、海岸の砂地に生え、梨に似た果実を結ぶことから「浜梨」、それが訛ってハマナスになったといわれます。バラの基本種の1つで、大きな一重の花にはダマスクローズに似た芳香があり、ノイバラを思わせる素朴な雰囲気があります。
枝にたくさん生えたトゲは防犯にも役立ち、花後のローズヒップは果実酒やジャムに利用できますよ。派手さはありませんが、生垣にすると個性的な庭作りを楽しめます。
花色 | 白、赤、ピンク |
開花期 | 4~7月 |
植付期 | 種まき:9~10月、4月 苗植え:11~3月 |
7. 芝桜
芝桜は、あたり一面をピンクのカーペットのように染め上げる初夏の花です。1つ1つの花は小さいですが、密集して咲くことから「一致」「合意」といったまとまりを意味する花言葉がつけられました。放っておいても草丈が10cmほどに生え揃うので、日向のグランドカバーにおすすめ。
多年草で植えっぱなしでもかまいませんが、数年たつと地上に根が出てきてしまうので、ときどき土を被せてあげてください。
花色 | ピンク、薄紫、赤、白 |
開花期 | 4~5月 |
植付期 | 苗植え:3~5月、9~10月 |
8. ビバーナム・スノーボール
ビバーナム・スノーボールは、アジサイの代わりとしての出番が多い花木です。ボール状に花を咲かせ、咲き進むにつれ淡緑色から真っ白へと変化していきます。樹高が2mほどとほどよい高さで、庭に植え付けやすいことも人気の理由。
日陰にもよく耐え、耐暑性・耐寒性ともに優れているので、ちょっとした寂しいなと思うスペースに植えてみてください。落葉樹ですが、花後から7月までに剪定をしないと、花芽を切り落としてしまうので注意しましょう。
花色 | 白 |
開花期 | 5~7月 |
植付期 | 苗植え:11〜3月、6〜9月 |
9. ヤマボウシ
ヤマボウシは、すっきりしない梅雨空を、白い花がパッと華やかに彩ってくれる樹木です。放任でも樹形が整うので、シンボルツリーや鉢植えに人気。
基本種の白がポピュラーですが、ほかにピンクやクリーム色、近縁種のハナミズキとの交配種「ステラー ピンク」など品種も豊富に揃っています。9月頃につける赤い実は、果実酒やジャムにして楽しめますよ。
花色 | 白、ピンク |
開花期 | 5~7月 |
植付期 | 苗植え:11~12月、2~3月 |
10. テッセン(鉄線/鉄仙)
テッセンは、クレマチスの原種の1つで、中国原産のクレマチス・フロリダ・シーボルディーのことを指します。古くから日本でも園芸用に親しまれてきました。花は5〜8cmとクレマチス属の中では小さいですが、白い花びらと紫の雄しべのコントラストが魅力的な花です。
しなやかな葉柄で絡みつくクレマチス独特の楽しみがあり、樹木やトレリスに巻きつけたり、ガレージの目隠しやグランドカバーにしたりと、用途の広さも扱いやすいポイントです。
花色 | 青紫、紫、白、複色 |
開花期 | 5~7月 |
植付期 | 苗植え:12~3月 |
11. さつき(サツキツツジ)
さつきは、遅咲きツツジの総称で、旧暦の5月(皐月)に咲くことから名付けられました。ツツジを1回り小さくしたような見た目で、葉っぱの表面には光沢があり、新葉が展開したあとに花が咲きます。
庭木やグランドカバーに利用するほか、強い剪定にも耐えることから、盆栽用花木としても人気がありますよ。
花色 | 赤、白、ピンク、紫、緑、複色など |
開花期 | 5~6月 |
植付期 | 苗植え:3~6月、9~10月 |
12. エニシダ(金雀枝)
黄色の蝶のような花を咲かせるエニシダ。四方八方に細かい枝を生やし、マメ科特有の蝶形の小花を枝いっぱいに咲かせます。
日本で古くから栽培されている落葉低木で、黄色に赤いぼかしが入るホオベニエニシダは民家の庭先でよく見かけますね。最近は樹高の低いヒメエニシダが広く出回り、洋風のおしゃれな雰囲気を鉢植えでも楽しめるようになりました。
基本的に高温多湿の環境が苦手なので、土の水はけをよくし、土の表面が乾いてからたっぷりと水やりをするよう心がけるとよいですよ。
花色 | 黄、赤、白、ピンク、オレンジなど |
開花期 | 5~6月 |
植付期 | 種まき:3~4月 苗植え:3~4月 |
13. ホタルブクロ
ホタルブクロは、素朴な美しさをもつ山野草です。長さ4〜5cmの花はぷっくり膨らみ、先端が5つに分かれます。また、茎にぶら下がるように咲く姿には、風鈴のような愛らしさがあります。
基本種は濃紅紫色ですが、花色の変異が多く白色や赤色のものや、細かい縞模様が入るなど株それぞれに個性があるのも魅力。
ロックガーデンや小鉢での栽培に向き、他の山野草と組み合わせると清楚なイメージの寄せ植えを作って楽しめます。
花色 | 白、赤、紫 |
開花期 | 6~8月 |
植付期 | 種まき:2~3月 苗植え:2~3月 |
14. ナスタチウム(キンレンカ/金蓮花)
ひらひらしたカラフルな花と、小さな蓮のような葉っぱが人気のナスタチウム。秋に種をまくと長く楽しめますが、冬の寒さが苦手なので、はじめて育てる人は暖かくなってからの春が種まきにおすすめです。
野菜やハーブのコンパニオンプランツとしても知られ、アブラムシやアリを遠ざけ、ナメクジやハモグリバエのトラップにもなりますよ。気温が高くても低くても弱るので、じっくり育てたいときは場所を変えやすい鉢植えがおすすめです。
花色 | オレンジ、赤、黄色、ピンク、白など |
開花期 | 4~7月、9~11月 |
植付期 | 種まき:3~4月、9月 苗植え:3~5月、9~10月 |
15. エルダーフラワー
エルダーフラワーは、ヨーロッパの森林や川岸に自生し、枝先に淡い乳白色の小花をまとまって咲かせえる落葉樹です。
綿菓子のように繊細な花には、マスカットに似たフルーティーな香りがあり、イギリスや北欧では古くから万能ハーブとして親しまれてきました。
また、花穂にレモン、砂糖水を混ぜたコーディアルシロップや、花に含まれる酵母で発泡させたフラワーシャンパンなど、ヨーロッパの夏を代表する飲み物の原料にもなるんですよ。
花色 | 白 |
開花期 | 5~6月 |
植付期 | 種まき:3~5月、9~10月 苗植え:3~5月、9~10月 |
16. バラ
品種数3万〜5万ともいわれ、世界中に熱心なファンをもつバラ。一般的な何枚も花びらを重ねる花の姿以外にも、カップ咲き、ロゼット咲き、クオーター咲き、ポンポン咲きなど約11種の咲き方が楽しめ、高級感のある香りと豊富な花色が魅力です。
育て方がむずかしいと初心者には敬遠されがちですが、決して弱い植物ではないので、一度根付くと驚くほどの生命力を見せてくれます。
庭の出入り口やシーンの区切りにはバラのアーチ、つるバラは壁やフェンスに絡ませれば、庭が一気に華やぎます。ミニバラなどコンパクトな品種は、鉢植えに仕立てて楽しめますよ。
花色 | 白、ピンク、赤、オレンジ、黄、緑、青、黒、七色など |
開花期 | 5〜10月 |
植付期 | 4〜6月中旬 |
17. 芍薬
芍薬は、牡丹によく似た花を咲かせる草花です。和風の庭に植えられるイメージが強いですが、欧州で品種改良された西洋芍薬は、バラ咲きや手まり咲きのモダンな雰囲気から、洋風の庭にもよく似合います。
茎の部分にトゲがないことから、フェンス越しにのぞかせたり、アプローチや玄関周りに飾ったりと、つるバラと同じような使い方もできます。
花色 | 赤、ピンク、白、黄 |
開花期 | 5~6月 |
植付期 | 種まき:8~9月 苗植え:9~10月 |
18. フェイジョア
フェイジョアは、独特の甘い香りの花を咲かせるトロピカルフルーツです。グアバに似た果実をつけることから、別名「パイナップルグアバ」とも呼ばれます。
初夏〜真夏にかけて、赤いブラシのような雄しべを放射線状に広げ、直径4cmほどの花を咲かせます。亜熱帯性でありながら寒さに強く、樹高も3m程度に抑えられるため、生垣や鉢植え向きの果樹となっています。
花色 | 白、赤 |
開花期 | 5~8月 |
植付期 | 種まき:2~4月 苗植え:3~4月 |
19. デルフィニウム
初夏にかわいらしいイルカ形のつぼみをつけ、涼しげなブルーの花を咲かせるデルフィニウム。ニュアンスカラーの花色が豊富で、中でも青系は濃淡あらゆる色味が揃うといわれます。
2mほどの背の高いものから、30cmほどの低いものまで草丈には幅があるので、イングリッシュガーデンを作りたいときに活躍してくれますよ。
花色 | 青、白、ピンク、赤、黄、紫 |
開花期 | 5~6月 |
植付期 | 種まき:9~10月 苗植え:9~10月 |
20. ニゲラ(クロタネソウ)
ニゲラは、太い茎に細い葉をたくさん生やしながら、先端に青や淡紅色の花をつける一年草です。花は直径3〜5cmほどで、周りが糸のような総苞(そうほう)に包まれて咲く姿が個性的。
野性的な雰囲気を活かして、コンテナや花壇に直まきして、ワイルドフラワーガーデンにするとすてきですよ。日当たりがよい場所で、乾燥気味に育てることがポイントです。
花色 | 青、紫、白、ピンク、複色 |
開花期 | 4~7月 |
植付期 | 種まき:9~10月 苗植え:3~4月、9~10月 |
初夏の花をプランターや花壇に植えよう
初夏になると、花壇やプランターでは春から夏に咲く花へとバトンタッチがはじまります。環境も変化し、高温多湿による病害虫が発生しやすく、梅雨時期ならではの悩みも出てきます。
日々の手入れも、春とは違った作業が増えてきますよ。土が乾きにくい時期ですから、水管理には十分気をつけましょう。蒸れに注意して丈夫な株に育てれば、彩り鮮やかな初夏の花で彩られた花壇やプランターを長く楽しむことができます。
更新日: 2023年05月02日
初回公開日: 2016年04月07日